これに対して後天的行動といわれるものは、生まれてから後になって、そのときの条件によって、様々の形で行うようになった行動の仕方なので、種ごとに決まった形というものはありません。同一種のものであっても、それぞれの経験が違えば異なった形をとることができ、さらにまた、経験を重ねることによって、より都合がよくなるように変化していくことができます。つまり、変化する環境に適応するように常にそれぞれが、よりよい新しい行動を作り出していくのです。このような行動は生まれた後からできあがってきたものであり、新しい行動を形成していくものなので、学習した行動といえるでしょう。

 このような学習を行うことができるのは、遺伝的に組み込まれた部分が少なく、本能的体制が弱まっていて、その代わりに随意運動が自由に行われるように、大脳神経系がかなりよく発達しているためなのです。大脳神経系の働きは、行動を適当に抑えたり、進めたりコントロールすることで、常に環境に対して個体を適応的に行動できるように調整することなのです。学習は、この大脳神経系の働きが十分に行われるようになった段階で、はじめて可能になるのです。