第二章 人間の誕生
はじめに、人間と他の動物たちとの相違を知るために、本能と知能ということを考えてみます。
動物が生存のため、または種族保存のためなど様々な行動をしますが、これらの行動のしかたを先天的行動と後天的行動、または本能的行動と知能的行動というように二つに大別することができます。
先天的行動というのは、動物がある行動をするとき、その種にきまったやり方で、初めての時でも、仲間がいなくてひとりのときでも、きまった条件があれば、必ずどれも同じやり方で出現するもので、その行動の仕方は予め遺伝的に組み込まれていると、考えられています。本能的行動とよばれている多くのものはこれです。
本能的行動をとるものは、刺激と反応の組み合わせが、反射としてきちんとできあがった神経系をもっており、条件が整えば、自動的に次々と、行動が反射的に展開し、目的が達成されるまで続くので、そこには新しい行動の仕方を取り入れる必要も仕組みも存在しないのです。
これは動物の種によって、定常的環境においては、最も無駄なく効果的に、目的を遂行できますが、その定常的環境が破壊された場合には、変化に対応して行動も変えるということができないので、遂には絶滅の危機に瀕することになります。