また、1821年の冬に、世界の改革者になろうと決意したミルは、幸福についてこう述べています。「私の、幸福があらゆる行動律の基本原理であり人生の目的であるという信念は微動もしなかったけれども、幸福を直接の目的にしないばあいに却ってその目的が達成されるのだ、・・・自分自身の幸福でない何か他の目的に精神を集中する者のみが幸福なのだ。・・・たとえば他人の幸福、人類の向上、あるいは何かの芸術でも研究でも、それを手段としてでなくそれ自体を理想の目的としてとりあげるのだ。このように何か他のものを目標としているうちに、副産物的に幸福が得られるのだ。」と。

 ミル著 『ミル自伝』 岩波文庫 P128