Ⅱ幸福
次に幸福について、少し述べておきたいと思います。
アリストテレスは人間の究極の目的、最高善(ト・アリストン)は、幸福(エウダイモニア)であると述べています。「われわれの達成しうるあらゆる善のうちの最上のものは何であるだろうか。・・・それは幸福(エウダイモニア)にほかならないというのであり、のみならず、よく生きている(エウ・ゼーン)ということ、よくやっている(エウダイモネイン)というのと同じ意味に理解する・・・」と。
アリストテレス著「ニコマコス倫理学」岩波文庫(上)P20
しかし、ひとたび幸福とは何であるかという点になると、ひとびとの間には異論があると、アリストテレスは述べています。