第一章 序論 人間の生きる意味

  Ⅰ生きるということ

 本論に入る前に、人間が生きていく上で最も大事で、すべての人間に共通の問題である「人間の生きる意味」について、若干の考察をしておきたいと思います。

プラトンはこう述べています。

ソクラテス「・・・ほんの少しでも分別のある人間なら、誰であろうと、そのこと以上にもっと真剣になれることが、他にいったい何があろうか、・・・その事柄とはつまり、人生、いかに生くべきか、ということなのだ。」  プラトン著 『ゴルギアス』 岩波文庫 p172

ソクラテス「いったい、どれほどの時間を生きながらえるかという、そういうことを、少なくとも真実の男子たる者は、問題にすべきではない・・・つまり生命に執着してはならない・・・いな、それらのことについては神様に一任し、・・・その次に来る問題、すなわち、これから生きるはずの時間を、どうしたなら最もよく生きることができるかという、そのことのほうを考えてみるべきだからである。」  プラトン著 『ゴルギアス』 岩波文庫 pp207~208