金正雲の中国訪問など【短信集】 | ついてる♪

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金正雲の中国訪問など【短信集】
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 6月28日のFT紙は、軍事・外交・諜報筋の話として、北朝鮮の後継指導
者に選ばれた金正日の26歳の三男、金正雲が、張成沢(金正日の妹婿。摂政
役)らとともに、6月10日から17日までの日程で中国を訪問し、北京訪問
後、広州、上海、大連などの改革開放経済の現場を見学したと報じた。

http://www.ft.com/cms/s/0/1f2db63c-640e-11de-a818-00144feabdc0.html
North Korean `bright leader' visits China

 金正雲の訪中については、すでに韓国や日本のマスコミで報じられているが、
日程や訪問地などは不明だった。中国政府は、金正雲の訪中を否定していた。
今回のFTの報道は、金正雲の訪中が中国の経済開放の現状を見学すること
に力点を置いたものだったことが読み取れる点で重要だ。中国政府が否定した
後に、だめ押し的に報道している点も注目される。

http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2009/06/22/2009062200193.html
Kim Jong-un 'Acting as Proxy for Kim Jong-il'

 私は以前の記事で、中国からの経済支援に頼って国家運営している北朝鮮は、
すでに事実上、中国の傘下(覇権下)にあり、中国は北朝鮮に、中国型経済
改革(改革開放、社会主義市場経済)の導入と、集団指導体制への移行によっ
て政治経済を安定させるよう求めているのではないかと分析してきた。これは、
そう考えるのが自然だという推論であり、決定的な根拠がなかったが、金正雲
の中国訪問が、上海や広州などの経済見学を主軸にしていることからは、やは
り中国は北朝鮮に改革開放をやらせたいのだと考えられる。また、張成沢が
同行していることからは、やはり彼が金正雲の摂政役であるとも感じられる。

http://tanakanews.com/090623korea.htm
金正日の死が近い?

 金正雲の父親の金正日も、祖父の金日成が生きていた90年代から、何度か
中国の経済開放の現場を見学している。金正日は、90年代に金日成から命じ
られて訪中した後には、北朝鮮に帰国後、中国を「修正主義の裏切り者」と酷
評するというドラ息子ぶりを発揮した(本当はドラ息子ではなく、北の軍内に
経済重視(戦争回避)の中国を嫌う傾向があり、軍の支持を得るために反中国
的な演技をしたといえる)。しかし2000年前後、北朝鮮に対する経済援助
国の主力が米国から中国に移るとともに、金正日は訪中するたびに中国を賞賛
し、自国にも中国式の経済発展が必要だという姿勢を強めた。そして金正日は
今回、息子の金正雲にも、中国の改革開放の現場を見に行かせた。

http://tanakanews.com/b0205korea.htm
北朝鮮を中国式に考え直す

 折しも、北朝鮮の貨物船「カンナム1号」が「国連決議に違反して武器を運
んでいるかもしれない怪しい船」として米軍艦の追尾を受けている。米軍が強
制的にカンナム1号に乗船して査察を挙行すると、北朝鮮が反撃の意味で韓国
を攻撃したりして米朝間が戦争になりかねないが、米国は「国連決議では強制
乗船まで認めていない」として、追尾しかできないという限界を露呈している。

http://www.nytimes.com/2009/07/01/world/asia/01sanger.html?hp
Second Thoughts on North Korea's Inscrutable Ship By DAVID E. SANGER

http://news.antiwar.com/2009/06/26/official-us-wont-forcibly-board-north-korean-ship/
Official: US Won't Forcibly Board North Korean Ship

 この話の意味は「北朝鮮の行いを正すには、米国では限界がある。中国にや
ってもらうしかない」というメッセージが、米国から中国に発せられているこ
とである。ブッシュの時代から6カ国協議を中国に主催させ、北朝鮮を中国の
傘下へと押しつけてきた米国は、オバマになってもその姿勢を維持している。
中国は、名実ともに北朝鮮の傘下に入りつつある。

http://tanakanews.com/g1031asia.htm
アジアのことをアジアに任せる

▼インドも誘ってドル離れするBRIC

 ブラジルの新聞は6月29日、ブラジル政府が中国との貿易に続き、インド
との貿易についても、米ドルではなく相互の通貨(ブラジルのレアルとインド
のルピー)を使うことを計画していると報じた。スイスの国際決済銀行での国
際会議のかたわらで、ブラジルとインドの中央銀行当局者どうしが会い、この
件を検討したという。またブラジルは、中国との当局者会議を開き、ドルを使
わない貿易決済体制のあり方について話を進めている。

http://online.wsj.com/article/BT-CO-20090629-707133.html
After China, Brazil Eyes Non-Dlr Trade With India -Estado

 中国、ブラジル、インド、ロシアというBRIC諸国の中では、中国とブラ
ジルのほか、中国とロシアとの間でも、ドルではなく相互の通貨を使う貿易体
制が導入されている。

http://tanakanews.com/090611BRIC.php
ドル崩壊とBRIC

 インドは、かつて英国の植民地だっただけに、いまだに英米中心主義の世界
体制への従属意識が強い。しかし、米当局によるドルと米国債の過剰発行が続
き、懸念が世界に広がる中で、今回、これまでドル脱却の動きに参加していな
かったインドが、ブラジルに誘われる形で、BRICのドル離脱構想に参加す
るかもしれないことは「ドル終焉」のプロセスとして意味が深い。インドは、
北隣の中国と地政学的なライバル関係にあり、BRICのドル離れ構想を主導
する中国から誘われても軽々に乗れないが、遠方のブラジルからの誘いなら、
比較的気軽に応じることができる。

 中国は、今年4月に中央銀行(中国人民銀行)の総裁が、ドルを国際決済通
貨として使い続けることの危険性を指摘するとともに、ドルに代わる国際基軸
通貨としてIMFのSDR(特別引出権)を流用した諸通貨バスケットの制度
を提案した。中国人民銀行は、最近発表した年次報告書の中でも、この提案を
繰り返している。巨額のドルを外貨準備として持つ中国が、ドルの危険性を繰
り返し指摘することは、少なくとも中国当局者の目から見てドルが非常に危険
な状態にあることを示している。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601080&sid=aSQeGrhdwipU
China Reiterates Call for New World Reserve Currency

 中国は、イタリアで開かれるG8サミットでも、ドルに代わる基軸通貨制度
について話し合うことを求めている。しかし、英米中心主義のための組織であ
るG8が、英米中心主義の根幹に位置するドルの基軸体制を終わらせることに
ついて議論する可能性は、ほとんどゼロである。ドル基軸からの離脱過程は、
国際合意を形成した上でのスムーズな動きにはならないだろう。先にドルの崩
壊が起こり、その後で「ドル後」が語られる展開になりそうだ。その際、中露
などBRICは「ドル後」について最も良く準備をしている勢力となる。

http://www.reuters.com/article/usDollarRpt/idUSL129307120090701
China requests reserve currency debate at G8 -sources

 世界では、米欧日の先進国(英米中心主義諸国)は大幅なマイナス成長が続
いているが、中国やインド、ブラジルなどは経済成長力が復活し、高度成長を
続けている。世界経済の中心が米国から離れていく「デカップリング」が起こ
りつつある。先進国の不況や低成長は今後も2-3年は続きそうだから、その
間にドルの国際信用が下落すると、世界の経済成長の中心と、基軸通貨の主導
権の両方が、米欧からBRICへと短期間に移動することになる。世界史上ま
れに見る、覇権体制の急速な転換が起こりうる。

http://www.ft.com/cms/s/0/ea0b4e52-65d8-11de-8e34-00144feabdc0.html
China recovery hopes gather pace

http://tanakanews.com/090607decoupling.php
やはり世界経済はデカップリングする?

▼米国の温暖化対策と中国

 米国では議会下院が6月26日、地球温暖化対策の排出ガス規制法を可決し
たが、同法には可決前に追加された条項として、二酸化炭素など温室効果ガス
に対する排出規制を設けていない国から米国への輸入品について、米政府が制
裁的な関税をかけることができるという規定が盛り込まれた。この条項の標的
は中国やインドであり、世界有数の温室効果ガス排出国となっていく中国やイ
ンドに対策を促すことが条項の目的とされている。

http://voices.washingtonpost.com/ezra-klein/2009/06/what_should_cap_and_traders_do.html
What Should Cap and Traders Do If China Doesn't Want to Cooperate?

 オバマ大統領は、この条項は保護主義的であり、世界が不況から立ち直ろう
と格闘している大事なときに、世界各国に対抗的な保護主義の傾向を拡大しか
ねず、世界経済に悪影響を与えるとして、条項を追加した議会を批判した。と
はいえオバマは、全体として温室効果ガスを削減できる法律は歓迎だとして、
拒否権は発動せず、事実上の中国制裁条項を含んだ温暖化対策法を成立させる
姿勢を見せた。

http://www.nytimes.com/2009/06/29/us/politics/29climate.html
Obama Warns Against Trade Penalties in Energy Bill

 地球が本当に温暖化しているかどうか、人為説が正しいかどうかといった、
温暖化「問題」の根本的な点が不確定である以上(世界の3万人の科学者が人
為説は間違いだとする主張に署名している)、産業界のコスト増になって経済
を減速させる温暖化対策は、環境的に無意味なだけでなく経済的に害悪だとい
う批判が出ている。米共和党下院議員のロン・ポールは「温暖化対策法は、瀕
死の米経済の棺桶に釘を打つもの」と酷評している。

http://www.prisonplanet.com/cap-and-trade-will-lead-to-capital-flight.html
Cap and Trade Will Lead to Capital Flight - Ron Paul

 そして、こうした問題の上に、中国やインドとの経済関係の問題が加わる。
中国などからの輸入品に制裁関税を課さない場合、温暖化対策法によってコス
ト増となる米国内で製造された商品より、中国などからの輸入品の方が安い傾
向が強まり、対策法は、中国などの雇用を維持して米国の失業者を増やす結果
を生む。

http://www.familysecuritymatters.org/publications/id.3618/pub_detail.asp
Exclusive: How `Cap and Trade' Bill Will Further Cripple the Economy

 これを嫌気して、中国などに制裁関税を課すと、貿易戦争になるとともに、
中国などは米市場に頼らず自国内市場や世界の新興市場諸国の市場を重視する
デカップリングの傾向を強める。BRICのドル離れにも拍車がかかり、米国
覇権の自滅を早めてしまう。日本では、米国がいよいよ温暖化対策に本腰を入
れだしたと評価する向きが多いが、それは楽観しすぎで、この新法は米国の自
滅に拍車をかける悪法になりそうだ。

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http://www.just.st/?in=7158268

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