2021.8.14

サガン鳥栖 VS 浦和レッズ 

1−2(山下)

 

〜届かなかったものとは?

 

先発は上図

樋口がアンカーで白崎を樋口ポジションに。

前線は山下、小屋松のコンビ。

 

入りは鳥栖がよかった。

 

こんな感じでCBにFW2枚がついて

サイドも蓋をする。

仙頭も含めて同数プレスに対して抜け道となったのは浦和の平野。

 

しかし強度、スピード共に慣れていない平野を狩り所として、

樋口、白崎、中野Fまでもが襲いかかりショートカウンターを成立していた。

これで小屋松から山下など決定機を作ることにも成功。

 

しかし浦和は給水を挟んで、平野や伊藤がCB間まで降りるようになる。

そこをどこまで追うか?という問題を提示するが、鳥栖の答えは「追う」だった。

 

樋口も本来はアンカーより前目の選手。

追うことで苦し紛れのボールを蹴らせるつもりが、

浦和はこの雨の中でもロングが正確だった。

 

そのロングパスから江坂が落として明本!

ついてきた島川は左に持ち帰ると予想して重心をかけた時に

右足でそのまま持ち込んでシュート!

左利きの明本ならではの素晴らしいシュート。

 

浦和は後ろで繋いでもあまり効果的にビルドアップはできなかった。

しかし逆に誘い込んでからロングが効果的だった。

これが意図的だったら怖い。

むしろ小泉を外していたのが中盤をあえて省略する意図だとすると、

より怖い。。。

 

 

先制した浦和はプレスのバランスも良く、鳥栖は苦しんだ。

しかし前にプレスに来る分、鳥栖も時折素早いワンタッチでプレスを外して攻めに転じていた。

 

 

そして飯野のクロスに小屋松がフリックして山下!

見事に同点ゴールを挙げる。

 

この時に、白崎が槙野を引っ張るように奥にランニングしていた。

そして小屋松に岩波がひきづられて、山下に対して酒井が行ったが間に合わなかった

 

前半を1−1で折り返す。

鳥栖としては悪くない前半だった。

 

そして後半。

鳥栖は「パスで剥がす」プレーを敢行する。

アウェーの浦和相手に、雨の中でもぶれない技術は目を疑う光景ですらあった。

 

山下、中野F、数々のチャンスを作り出すが決めきれない。

とくに新加入の白崎は驚くほどの馴染み具合で鳥栖の戦術に完璧に溶け込んでいた。

 

島川の怪我でソッコ。

さらに新加入の白崎の体力面なのか、理由は分からないが交代で小泉。

 

小泉はアンカーの位置で強度を見せたが、やや後ろからの守備が多くなり

あわや2枚目か?というイエローギリギリのプレーが多かった。

それでも樋口より後ろに残ることで危ないゾーンを潰す役目はできていた。

 

 

浦和はやはり長いボールが有効で、攻め立てる鳥栖がCBも上がった時に

そのゾーンに放り込むことで攻撃。

 

とくに江坂は長短のパスを前に蹴り出すため、

鳥栖を疲弊させていた。

 

狙われたのは左サイド

中野Fの裏はずっと狙われつづけていた。

 

そしてセットプレーの流れからその中野Fが相手を蹴ったとしてPK

1−2で勝てそうな試合を落とした。

 

鳥栖としては勝ちに行ったのだろうが、

うまくいっていた山下・小屋松をさっと変えて酒井、岩崎にしたこと。

中盤から後ろで相手を剥がすパスワークの中心だった仙頭を変えたこと。

 

もちろん体力面や今後のこともあるのでその是非は問えないが、

この試合を見たときに彼らの交代がマイナスに作用したように感じた。

 

逆に浦和は途中から出てきた汰木や関根など、

ドリブルで仕掛ける選手が出ることで、鳥栖を困らせていた。

 

傍目としては、攻め続けた時間に取れなかったことが原因にも思えるが、

チャンスを作るために「負うリスクの質」がちょっときつかったと思った。

 

つまり

鳥栖がいい攻撃を5つする間に2回カウンターを受けるとする。

ゴールになりそうな「質」の攻撃はどちらも1回ずつ、といった具合だ。

 

浦和のほうが良い質の攻撃をする確率は高かった。

それはしっかりと鳥栖を研究した結果だろうし、

ホームであることの意地もあったかもしれない。

 

いずれにせよ非常に見応えのある試合だった。

それでもあと1つどれかが決まっていれば勝っていたのかもしれないのだ。

 

素晴らしいゲームに拍手。

 

まとめ:

届かなかったもの

決め切る力と言えばそれまでになってしまう。

そうではなく、チャンスを作るやり方が浦和のほうが1枚上手だった。

攻め込んでるように見えるが、守られていた。

プレスがハマっているように見えて、サイドの裏を使われてしまった。

 

江坂や平野の起点の効いたパスに

明本、酒井らの走れる選手を並べた浦和に

勝負としては負けた、ということだろう。

 

しかし逆に言えばそこまで浦和を考えさせ、悩ませてもいた。

そして天皇杯を見据えた3連戦の中で、天皇杯に使えない新戦力3人を使って

この試合を戦い切った。しかもある程度の質を伴った試合を見せたことは素晴らしい成果だ。

負けたことは悔しいが、それ以上に「今後」を考えると大きすぎる収穫を得たとも言える。

 

 

選手評

パギ 及第点

守備に大きな問題はなかったが、いつもよりキックに苦しんだ

 

エドゥアルド 及第点

破綻したわけではないが、1点目など飛び出したからには潰したかった。

動きの細かな2人を相手にしてやや守備に苦労した。

 

島川 がんばれ

悪くなかった明本への対応、それ1つで1点が生まれた。

CBとはそういうポジションだ。怪我が軽症であることを願う。

 

大畑 及第点

しっかりと酒井に対応し、簡単に突破させなかったはすごい。

攻撃ではやや苦しんだか。

 

飯野 良き

彼の位置から突破されることはなく、ゴールに繋がるクロスを送った。

攻撃のキーとなっていたし、今日の鳥栖の中では一番良かった。

 

樋口 及第点

難しいアンカーをソツなくこなす。

基本技術が高いので何でも出来てしまうが、

前に行ったときの選択肢がやや消極的だったか。

 

仙頭 良き

後ろで剥がすとき、前に進める時、彼のパスがキーとなった。

交代後は如実にポゼッションが悪くなったのが証左

 

白崎 良き

新加入ということをまったく感じさせない。

ゴールシーンでの囮の動きから、中盤でのヘルプサポートに潰しまで。

幅広くしっかりと試合に貢献しつづけた。

どこでも白崎という位貢献度は高かった。

交代は残念

 

中野F がんばれ!

今日もいい持ち方、仕掛けを見せるも、雨のピッチでシュートは足につかず。

守ってもしっかりと戻って頑張っていたが、PKを献上。

ツイてない日だったとも言えるが、体力の配分も含めて、もう少し改善したい所か。

スライディングやクリアの時、必要以上に足を上げるのでファールを取られやすい。

癖だと思うが改善してほしいところ。がんばれ!

 

小屋松 及第点

相変わらず献身的な動きとキレのあるドリブルで翻弄。

しかしさすがにIHに降りてからは存在感が薄くなったか。

現状は2トップの1角が一番ハマっている。

 

山下 良き

素晴らしいゴールに、シュートの数々。

2点目を取りきれなかったが、打ちつづけたことは評価したい。

 

ーーー交代選手ーーー

ソッコ 良き

守備でも硬く、前に持ち出しての選択肢も豊富。

浦和を押しこむ要因となった。

しかしその分逆にカウンターを食らうようになったのだから

サッカーは難しい

 

小泉 がんばれ!

最初の位置取りが悪くファールを連発することに。

それでも「ここを守る」という意識は素晴らしく危機察知も素早い。

奪われ方が悪すぎた今日のゲームの中では難しかっただろうが

こういうゲームで狩り役になってほしい。

素晴らしい貢献だったがイエロー2枚目の紙一重のプレーが多かったか。

 

岩崎 がんばれ

ちょっとゲームに入りきれなかった。

ボールを持ったときの動きやキレは期待感があった。

流れの中でもっと受けれるような動きができれば、

もっと活躍できるだろう。

 

酒井 及第点

やれることは少なかった。

それでも攻守に競り合い、頑張ってくれた。

 

中野 及第点

無難ではあったが、現状大畑の後塵を拝する。

彼ならもっと出来るはずだ。

 

 

難しいアウェー連戦が続くサガン鳥栖

次は天皇杯

 

タイトルを本気で狙ってほしい!!!