2021.5.8
サガン鳥栖 対 サンフレッチェ広島
0-0

~鳥栖に我儘な選手はいない。だからこそ得られる強さと「ゴール」というジレンマ


先発はおそらくのベストメンバーを揃えた。
開始早々から闇雲ではなくしっかりとした前プレをする鳥栖。
ボランチを消すプレスはもはや職人芸。

そして山下から林!と惜しいシーンを作る。
しかしその後試合は膠着。

広島はサイドをSBで広げておいて、ハーフレーンの森島が中間で受けて前を向いて技術を見せる
これにより鳥栖はサイドに行くのか、中を固めるのか選択を強いられて苦しくなった。

なお鳥栖の攻撃は基本的に中を見せておいて大外から崩しにいくことが多い
多いというレベルじゃなく外から!が基本線だった。
なので広島は前に突っかかりすぎず、ライン敷いて守れば大丈夫!という福岡や清水方式をとる。

そこと違ったのは、広島は中間で受けてから、森島、川辺あたりから、足の早いFWが何度か裏抜けに成功する。

しかしそこはパギ!
彼でなければ守れない範囲で
彼でなければ守れないシュートを止める。

広島はラインの高い鳥栖の裏を突くことでチャンスを作っていた。

後半いきなりテンションの変わる鳥栖。
何が?

小屋松のポジションさ。


鳥栖は攻撃時こんな感じになる。
で、仙頭が前を向けたり、小屋松、樋口を囮にして中野、飯野が大外の前で受けたら攻撃開始!みたいな。

そこのサイドの所は必死に守るチームが増えてきた。
で、今日の、後半は小屋松がこのハーフレーンで受けまくる!

それにより、相手は付くのか、外をカバーにいくのか選択をしいられる。

つまり前半森島にやられた事をやり返した鳥栖

「鳥栖はなぁ、攻撃を受けた分だけ強くなるんだよ!」
と言ったかどうかは知らない(笑


そしてハーフレーンから中や外を使い殴り続ける鳥栖。

ちなみに前半裏抜けからピンチを招いたことに対してどう対応したかというと、守備は変えていない。
DFラインは高いまま。
むしろ攻撃を改善した。

広島さんはどうしたか?というと撤退を徹底した。
それにより広島は何とか守れていたが、逆に攻撃では力を割けず、後半は裏抜けすら出来なくなった。
後ろに重たく、奪う位置も後ろなので、攻撃するには長いボールを入れるしかない

だから永井龍をいれてポストとして使おうとしたのだろう。
しかしそこはエドゥソッコの強さでキープすら楽にさせない。

鳥栖は攻撃を改善することでピンチも減らした。
まさに能動的な解決。

広島はそれに対して守備を意識しすぎた事で攻撃がハマらなくなった。


後半最初の交代
中野⏩大畑
小屋松⏩中野F

中野がアウトで中野がイン!
この中野Fが良かった!!!

最初のワンプレーでも守備で大畑と連携して、いい位置にプレスバック
その中野Fが起点の起点の起点になって、カウンターでシュートまで!

このシーン見れただけでも涙出る

よぅ覚えたねぇこの短期間に、よぅ馴染んだねぇ
(´・ω・`)うるうる


そして後半、仙頭がライン際のボールに何とか食らいつく!
ボールはアウトだったが、こういう姿勢をしかも目の前で見れたものだから、もうオジサンは涙目なわけですよ。


その仙頭が怪我?で交代

仙頭⏩島川
山下⏩本田

論理的にはいい形が作れている
2分以上パスを回し続け隙を伺い攻撃し続ける鳥栖には隔世の感がある。
しかし崩しの局面ではちょっと足りなかった

 林は強引な反転や突破から惜しいシュートを放つも、難しい体勢ではあるため中々すんなりと決まるようなチャンスではなかった。

相手CBも完全に引ききっていたし。

釣り出すためのミドルシュートは樋口以外はあまり撃てなかった。
そうそう。

この日の樋口と松岡は鬼だったと記しておこう。



前半途中からもう広島の青山が「行きすぎるな!一旦退けー!」と叫んでいたのは印象的だった。

てことで最後の一刺しのためにドゥンガ投入。
しかし大きな仕事は出来ず。


こういう時のための外国籍選手なのだろうが、まだまだ難しいと思わされる。

だからこそ酒井の離脱はちょっと痛い。
彼がいれば、強引な攻撃というのが出来たかもしれない

しっかりとサッカーをして
しっかりと教科書通りに殴り続け
しっかりとミットに収まった

そんな試合だった。


なお広島はカウンターでラッキーパンチ以外は勝ちの目がなかったような試合になった。
特に後半は

それでアウェーで引き分けで逃げ切るのだから逆に強い。
現実的に戦ってる時の広島さんは当たりたくない(笑)



〜閑話

ピッチで練習を見れた!
凄かった!

端的に駅スタは最高

選手評

極上★★★

パギ
もはや彼でなければ守れない範囲をカバー。
FWと競り合うGKとか笑えない。

樋口
どれだけ細かいタッチで奪われない置き方をしているか。1番難しいエリアで取られず前を向いたまま生きたパスを供給。間違いなくMVP。

松岡
何度も何度もボールを受けて起点となる。
彼が持つことで全てが始まる。
この年齢で最後尾から最前線まで全エリアで貢献する姿はもはや異常


良い★★
エドゥ
前半少し軽いシーンもあったが、シュートを撃たれるタイミングではしっかりとチェック
パギとの連携でまだ余裕ある守備を見せた。
結局1対1では負けなし。

ソッコ
エドゥ同様、難しい前半の対処をノーミスでクリア。無失点の大きな要因となった。

☆島川
松岡の位置から長短のパスで組み立てに貢献。
仙頭交代後もチームパフォーマンスは落ちず。
怪我からの復帰も素晴らしいパフォーマンスだった。

☆中野F
相当に素晴らしい貢献
何がって大畑とつるべの動きで守備を閉めて、何度もハーフレーンで受けて崩しの形を作った。
この動きが出来れば大丈夫、とルヴァンのレビューでも書いたが、この日も素晴らしい貢献。
惜しむらくはこれだけ引かれた相手にもう少しシュートにいくドリブルが見たかったか。


最初に言っておく。本当に素晴らしいプレーだった。代表クラスの佐々木を相手に苦労しながら反転してのシュート、突破を何度も見せた。
しかし1本も決まらず。
プレスの貢献もあるので、良いのは間違いない。それでも彼が決めるしかないゲームデザインだったので、そこを含めて要求したい。
頑張ってくれ!


及第点★
山下
もう少しパスが丁寧であれば、と思わせるシーンがやや。
基本的には貢献度は高いのだが、最後の崩しやシュートには足りなものも。

小屋松
攻守に本当にお疲れ様。
特に後半はハーフレーンを上手く使い、ビルドアップの新しい抜け口として機能。
本当に頭のいい選手なのだが、だからこそ攻撃も単調になったか。

仙頭
間違いない技術を見せた一方で最後を崩す起点になりきれず。
疲れからかアイディアのないパスもちらほら。
それでも取られない技術力と運動量、そして気迫を見せてくれた。


☆本田
攻守に活性化。
カットインシュートも見たかった。

☆大畑
中野に代わり遜色ないプレー。
オーバーラップからのクロスはどうにか通したかった。
最後の質に難があるのは誰もが同じだが。

がんばれ!
☆ドゥンガ
収まる強さと柔軟性は見せたが、彼自身がどうやって点を取るのか?取らせるのか?
チームとして使い方にまだ答えが見えなかった

飯野
めちゃくちゃ頑張ってた!
スピード勝負でもめちゃくちゃ戦ってた!
だからこそ最後のクロスがほぼ合わない、というのは残念であった。
そこの貢献も求められるのだから。

中野
守備でも珍しいクリアミス、攻撃でも肝心なフリーでのパスにミスが散見。
彼が良ければ崩しきれたかもしれない。
ポジショナルプレーを掲げるならばSBが、中でヘディングというシーンがあってもいい。
もう少し中での選択肢と技術を増やしたい。



最後に

広島相手にこれだけ押し込めて攻撃した試合があっただろうか?

厄介なゆったりとした攻撃
硬い守備

その広島がある程度攻撃を捨ててでも、鳥栖の攻撃に対処してきた。
鳥栖はやれる事をやりきっただろう。


だからこそ崩しきる事に拘りすぎたか。
最後は酒井のような理不尽さを求めたかったが、力不足。


勝てたとまでは言えないが、
負ける要素は少ない試合をした。

苦しい前半から、同じくハーフレーンを使い相手を苦しめる。
そういう事は出来てきた。
それこそが今の鳥栖の強さ。

我儘さはなく、愚直にプレスとカバーに走る選手に感動もした。


それが鳥栖の強さである。

しかし、適当なサボりや、楽さが生む理不尽なゴールがあるのもまたサッカーである。

そういう我儘な選手がいないことで作られる土台の強さと、最後の一刺しをどうするか?というのはサッカーの永遠の命題なのかもしれない。



少なくとも鳥栖は土台を捨てることはないだろう。

そして恐らくはそれが正しい未来を作る。

僕はそう信じてる

何故ならば、

今日の中野Fが誰よりも早く守備に戻る動きをみて、それこそが鳥栖に求められものであり、その姿にファンは感動する。

それが鳥栖の文化なのだと思うから。