犯罪を犯した精神異常者を治癒する術のない時代

彼らはある「島」に押し込められ
非人道的な実験の対象とされていた。

そんな島を調査に来た主人公2人

ディカプリオ扮する刑事役のテディがつぶやく

「この島は何かがおかしい」

一緒に捜査にきたチャックも困りはてた様子を見せる

そんな中、レイチェルという女性が失踪する事件が発生する。
彼らもまたレイチェルを探し回るうちに、
この島では「電気を脳波にあてて治癒する」という
治療が行われていることを知る。

ロボトミーと呼ばれる治療法。
それで患者の凶暴性は抑えられるものの、
通常の人格を維持できたものはいない・・・

ほぼ「廃人」のような状態となってしまう。
まさに非人道的な所業。

だが、犯罪者を放置するわけにもいかない。
仕方ない、と島の人間は考えているようだった。

それを止めるべく奔走するディカプリオだが、
逆に島の看守たちに徐々に追い詰められ、身を隠すはめとなる。


島の秘密とサスペンス
そして刑事として調査してる間に
秘密を知るものとして追い詰められるスリル

終始緊張感のある絵で映画は続く

またテディ(ディカプリオ)は、家族で亡くした過去がある。
たまにフラッシュバックで思い出すのは
妻の死に様、そして子供たちの笑顔・・・

アパートの火事で妻を亡くしたというテディだが
そのフラッシュバックする記憶の中で
彼女の洋服はずぶ濡れであった・・

さまざまな謎


+++ネタバレ

ここから物語は驚愕の展開へと続く

一緒に調査に来ていたはずの刑事が、看守たちと話してる。
まさかあいつもグルなのか?

混乱する彼に突きつけられた衝撃の事実。


「また、患者が逃げたぞ!」


そう 彼は、 まさに この島に閉じ込められた「患者」だったのだ。

テディの本名は凶悪な犯罪者として収容された「アンドリュー」であり、
その容疑は「妻殺しと放火」

一緒に捜査にきたと思っていたチャックは「シーアン」という
彼の担当医であった。

精神が崩壊した彼はさまざまな妄想を続けるあまり
刑事役の「テディ」という人格を作ってしまった。

そしてシーアンはこの島の中でも安全な治療、投薬による治療を進めていた。
これによりアンドリューが治癒されれば、この手法も認められる。

一方、以前から続いてる治療は、もはや治療ではなく
「ロボトミー」といい、精神を無理やりに安定させる電気治療。

性格矯正といえば聞こえはいいが、心を壊すことで
過激な行動を出来なくする、という手法だった。


すべてを思い出したアンドリューは、
自分自身のしたことを後悔する。


妻のヒステリーに気付かず、
妻が子供たちを手にかけるきっかけを作ってしまったこと。

その後悔の念から、妻を手にかけてしまったこと。

自分を取り戻したことに安堵したのはシーアンだった。
そしてアンドリューは島を出て通常の刑に向かうことになる。




最後、島を一瞥した彼が漏らした言葉は・・・


「この島を出よう、チャック」



またしても刑事役の妄想の名前でシーアンを呼んだアンドリュー。
治療は失敗だと首を振るシーアン達


もう治療の見込みはないとしてロボトミーに運ばれるアンドリュー。
彼の「精神的な死」は免れない。


最後の最後につぶやいた言葉

「モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」


この意味とは?


アンドリューがテディに戻ってしまったのであれば、
この先ロボトミーがあることも知らず、調査を続けようとするはず。

逆にアンドリューの意識のまま「テディのフリ」をしたとすれば?
アンドリューに戻ったとは言え、過去の罪は消えない。
また、いつ精神異常が勃発するとは限らない。

つまりモンスターのまま生きる・・というのは
殺人者として生きる、という意味だと取れる。


善人として死ぬ、というのは
テディ(刑事役であれば過去の罪も知らない=善人)で居ることで
この先ロボトミーを受け、自分の凶暴性や精神を殺し、
社会から凶悪犯罪者のアンドリューを抹殺することが出来る。


自分の罪、そして、精神状態

それらを察したからこそ、彼は あえて テディのフリをして
抹殺される道を選んだのではないか?


それこそが、子供や妻への罪滅ぼしだと信じて・・・


+++
まさか主人公自身が患者だった!という展開と
レイチェルという女性の島内での失踪事件

それらがすべて本人の妄想であり、精神異常者の異常性を感じさせる。

そこにきて、最後のシーンでの意味深な言葉。


言外に含蓄のあるシーンが多く
ミステリアスだが多くを語らない映画。

捕らえ方は観た人それぞれ。
それだけに印象に残る映画であった。