ACミラン VS カリアリ

2014年1月26日

セリエAリーグ戦


■前提

セリエAで11位に低迷するミラン。

本田とラミ。冬に獲得した二人を先発に据え、上位進出を狙う。

そもそも、ポーリ、ビルサ、クリスタンテ、モントリーヴォ等

センスがある選手は多かったが勝ちきれなかった。

そして一番の問題は守備。

監督はかつて10番を背負ったセードルフ。


■スタメン

GK アメリア

DF デ・シーリョ ラミ ボネーラ エマヌエルソン

DH モントリーヴォ デヨング

OH 本田 カカ ロビーニョ

FW バロテッリ


■前半

序盤はややミランペース。

カウンターからモントリーボが縦にパスを入れて、2、3人が繋がって

本田が抜け出したのが一番のチャンスだった。

完全に抜け出してGKと1対1になるも、右足のシュートは正面に。


その後一進一退の展開が続くも、カリアリのプレスが早く、

ボランチから前に運べない。

スペインでは(最近ドイツでも)こういう時はCBが上がって行って

ビルドアップに参加するのだが、セリエAにそういう文化はない。


手詰まり感がある。

じゃあどうするべきだったか?


トップ下はこの日はカカ。

カカがもっと下がってビルドアップに参加する。

そこに顔を出したときに怖がらずにパスを通す。

また、預けられたら取られずに、できるだけ下げずにつなぐ。


この前半のミランは全てが出来なかった。

バックパスが多くなり、判断を誤ったGKアメリアのありえないパスミスで

ゴール前フリーの敵選手に渡してしまう。

その後の対応もバタバタであっさり失点。


反撃を試みるも、なかなか繋がらないミラン。

光明はデシーリョ。

内田のようなセンスのいいポジションと簡単にはたくプレー。

そしてやや厳しい状態でもボールをもらってゴール前に運ぶ。

右SBながらゲームメイクが出来そうな雰囲気。


そのデシーリョからの見事なクロスを本田がヘディング!

これもGK正面だったが、非常に見応えがあった。


だが入らない。

今日も勝てないのか?


■後半

とにかく中盤の運動量が足りなかったミラン。

後半はやや盛り返し、カカも少し幅のある動きを見せる。


本田も一度右サイドで縦に突破して

カカにスルーパスを通す。

カカの折り返しをロビーニョが流して

バロテッリのシュート!


だが、これも大きく超えていく。

この日のスタジアムは風が非常に強く、

後半は向かい風となっていた。

そのためシュートが浮くシーンが多かった。


さらに本田がカウンターから左サイドのロビーニョへ。

その折り返しをDFの間で受けてダイレクトの左足シュート、、、は

これも上にふかしてしまった。


良くも悪くもシュートまで行けるシーンには本田が絡んでいる。

身体は重そうだし、ロストも多いが、事実としてチャンスを作ってる、という事はある。

だが、外す。(外してるのは本田だけではないが、やはり目立つ)


これを周囲がどう捉えるか、もこれからのミランでの立ち位置に関係するだろう。


後半、追いつけないミランは監督が動く。

ロビーニョに変えてパッツィーニ。

さらに、デヨングに変えてムンタリを入れ、

終盤にはエマヌエルソンに変えてアバーテ。


個人的には今日のようなデヨングであれば動けるムンタリ。

そしてサイドバックは攻撃的すぎるエマヌエルソンよりはアバーテが良い。

2ボランチならなおさら。

これで左から、デシーリョ、ラミ、ボネーラ、アバーテの4バック。

メクセスか、サパタが戻ってくればようやく守れる陣容になるか?


今日の試合の中で、ムンタリは非常に良かった。

中盤での潰し役として最近のデヨングは「幅」が足りない。

相変わらず人には強いが、スペースを埋めることが出来ず、

カバーできる範囲が狭いため、4-2-3-1となったミランでは厳しい。

2人で守るには相方のモントリーボが守備が苦手なため、

より一層広範囲に動けて守備が出来なければいけない。

(そんな1流のDHはそう多くはないが)


そしてやや押し込める展開が増えてきた。

簡単なミスがまだ多いが、それでも前半に比べれば、マシ。


噂のFK合戦はまだキックがあってない本田よりバロテッリが優先。

蹴れない本田は右サイドで自分が倒されて得たFKを一本蹴った。

これは見事にカカに合わせたが、ゴール前で相手DFがクリア。

精度が良いキックも見せるが、まだ不安定なため、絶対の信頼はまだないか。


そんな中、後半40分過ぎ、ゴール正面でバロテッリが自らFKを獲得し、

これを直接鎮めて1-1。


強風のため、壁は飛ばずに足元をケアしていたが見事に壁を越えて決めて見せた。

イケイケのミランはさらにCKを獲得。

本田が蹴ったボールは風にも巻かれて鋭く曲がり、パッツィーニが難しい体制からゴール!


奇跡の逆転を果たした。


その後時間をつぶすプレーにはビッククラブの面影はなく、

カウンターのシーンでもドフリーのヘディングをパッツィーニが外したり

簡単なキープもできないバタバタな状態だったが何とか逃げ切った。


ともあれ勝ちは最大の良薬。

リーグ戦2連勝を飾った。


■選手評価

アメリア 4.0

あまりにも稚拙なボールコントロールと不安定なポジション。

失点の原因を追究されるに値するプレー。


デ・シーリョ 6.5

攻守に安定。質の高いクロスとビルドアップに貢献するパスを通す。

苦手だった守備もポジショニングの良さでカバー。


ラミ 5.5

まだ不安定。連携不足もあるが、足元が苦手な印象。

CBから縦に付けるパスが少なく。


ボネーラ 5.5

危機管理が足りないか。対人は強くてもラインの低さ、

カバーの遅さが致命的


エマヌエルソン 5.0

ドリブルの威力はあるのだが、使えていない。

チームとしても活用する意識が低く、

現状では守備の穴としかなっていない。


モントリーヴォ 5.0

ボランチとしてゲームを組み立てることは出来ず。

前からそうだが、難しい試合の中で違いを作ることは出来ず。


デヨング 5.0

日本戦での守備の強さはどこに?

一歩目の遅さでファールも多く、ミスも散見。

得意なはずの守備でもフィルターになりきれず。


本田 5.5

評価が難しい。一番チャンスを作っていたのは間違いない。

だが、ミランの10番はそこを決めきる事を求められる。

一本でも決めていれば。


スピードがない中でもサイドを何とかこなし、

CKからのアシストで最低限の仕事は果たした。


だが、得意の左足のシュートやパス、

切り替えしのドリブルさえも読まれていた。

さすがセリエAの事前調査と戦術の細かさにどこまで対応できるか。

そしてそれを上回れるかが今後求められる。


カカ 5.5

スタミナのせいか範囲が狭い。

それでもボールに絡んだときは何かをしてくれそうな

雰囲気を出していた。


ロビーニョ 5.5

こちらもボールに絡んだときはチャンスを作っていた。

バロテッリへのパス、本田へのパスは決まっていれば、というシーン。

それでも守備への貢献があまりに少ないか。


バロテッリ 6.5

あまりにも少ない運動量。そして最前線で蓋となりすぎるポストプレー。

それでも後半サイドになってからは見事なトラップ、

瞬間で相手から離れてボールを受ける技術でチームに落ち着きをもたらした。

さらに見事なFKで逆転の口火を切る。

スピードを見せることはなかったが、もしかして中盤のほうが適正なのか?と思わせる

中盤での落着き、ボールの受け方だった。


ムンタリ 6.0

途中出場からチームの守備を一段上げた。

運動量があり、前から潰せるのでポゼッションにも貢献。


パッツィーニ 6.0

ゴールがなければ評価はなかった。

だが、それを求められて出場し、ボールに絡んだのはわずか数回、

その中で1ゴール、2度のシュートは十分な結果。

まぁ簡単なシュートほどよく外すのは変わらず。


アバーテ -

時間が短いため



■今後に向けて

本田は悪くはない印象。

「ミランの10番」と考えると物足りない。

今はコンディションもまだ整ってないと感じる。


だが、そんな状態でさえも、今のミランで一番チャンスを作っていた、という事実。

これは本田が素晴らしい、というよりも今のミランの凋落ぶりを意味する。


上に上がるには課題は山ほどある。

2ボランチでいく場合のモントリーボの相方探し。

トップ下でのキープはカカ、本田ともに物足りない事。

チームの決定力。本田もバロも外しすぎ。


ボランチはもしかしたらエッシェンが解決するかもしれない。

トップ下はもしかするとバロテッリが合っているのか?とさえ思った。

中盤で重さを使ってキープしてそのまわりを本田とカカが動く。

最前線は日本風でいくとパッツィーニが前田さんのように

両サイドにワイドに動いて流動性を増やしていく。


ともかくバロの1トップで行くには色々と弊害も多いが外せない。

解決策をどう見出すか、監督の手腕も見ものだ。