日本 VS オランダ 2-2 親善試合

■前提
コンフェデからの負け続けを受けて批判が高まる代表。
海外組がクラブで出場できてないところも不安があった。

■スタメン
西川
長友 吉田 今野 内田
長谷部 山口
岡崎 本田 清武
大迫

大迫、清武、山口を起用し、香川、遠藤を控えに回した日本


■前半 ミスと個人技の差と
前半、左サイドで清武がしっかりとキープし、長友が駆け上がるシーンを連発。
単純なクロスやロングシュートなど多彩な攻めを見せる。

長友が一気に裏に抜けて中央へのクロスに岡崎が飛び込む、など
良かったときの日本を思い出させる攻めを見せる。

そんな中、前線へのロングボールを放りこまれ、
内田のクリア(GKへのパス?)が繋がらず、ファンデルファールトに押し込まえれ0-1。

その後しっかりとした戦いを続けるも、またしても中盤から跳ね返されたボールを
中盤でワンタッチボレーで逆サイドに展開される。
このファンデルファールトのパスがすごかった。

それを受けたロッペンが個人技で長友、長谷部をかわしゴール
0-2となる。

それでも前半は調子を取り戻した長谷部の前の推進力が活きた。
山口が、前に強さを見せる守備を披露し、安定感が増したおかげで
長谷部が攻撃で貢献できるようになる。

やはり長谷部、遠藤と、攻撃で活きる選手を二人並べるのは無理があった。
強豪相手にしても山口のインターセプトは光っており、
時折見せるミスが目だつも、それを補って余りある守備の強みを見せた。
その分長谷部が前でいい動きを見せて、前半終了間際にインターセプトから
大迫にスルーパス

これを大迫がダイレクトで決めて 1-2で前半を終了した。

大迫、本田と起点となる場所が2個できたことでポゼッションが安定した日本。
豊田、大迫を並べたときもそうだが、やはり起点が本田一つでは潰される。
いい意味で本田が目立ちすぎなかったのはいい傾向と思える。

ずっといってきたことだが、起点となる選手(キープ力のある選手)は2人必要。


■後半
長谷部⇒遠藤
清武⇒香川

まさかの前半のキーとなっていた長谷部を交代。
そして遠藤のずるさを目の当たりにする。

こういう大事な試合や、プライオリティの高い試合で見せるポテンシャルは
やはり遠藤は外せないと思わせるに足る内容だった。
安定したパス。
前線の空いたスペースへの正確なパス。
テンポを変えるパス。

遠藤の落ち着いたゲームメイクが、やや攻め急いでいた日本に安定を見せた。

そして香川はやはりマンチェスターUの選手であることを証明した。
素晴らしいターンに、最近強くなった当たりの強さで守備でも貢献。

さらに前へのドリブルワンフェイントで左に抜けての左足でのシュート!
これはGKに防がれるも素晴らしい崩しを見せる。

また、右サイドの岡崎は、技術では見劣りするシーンがあるものの
粘り強い動きと運動量で貢献
それぞれの特徴がよく出ていた。

その岡崎と最近中に切り込むプレーもできてきて幅が広がった内田が
岡崎とのコンビから右サイドを崩して、左足でスルーパス。
右SBが左足でのプレー、左SBが右足でのプレーができることは幅ができる。
ウィングが外に開いたときには、中に入ってのプレーができることも
最近のSBに求められる資質。

もはやSBが攻守の決め手となることも珍しくない。

その内田のパスを受けた大迫が簡単に落として本田のダイレクトシュートが
決まって 見事に同点。

素晴らしい崩しを何度も見せた日本が2-2に追いつく。


その後、
長友⇒酒井 内田⇒酒井(宏) 大迫⇒柿谷 

と立て続けに交代する日本

それでも攻めの質は落とさず、香川の見事な飛び出しから
柿谷へのスルーパス。

柿谷が完全にGKと1対1になるものの ぎりぎりで外して決まらず。。。


その後、柿谷がはいったことでややポゼッションが落ちるものの、
オランダに攻め手を許さず 2-2 で終了。


フランスに勝った試合よりもインパクトのある結果だろう。
内容であのオランダを圧倒しての引き分け。


■ポイント
ポイント1.ボランチの組み合わせ
長谷部(攻守) 山口(守)
遠藤(攻) 山口(守)
の組み合わせで格段に安定した中盤。

細貝も守備的なプレーヤーなのだが、
彼は前や人に対しては強いが、危険なポジションを埋めたり
カバーのセンスがやや劣る。

また山口は難しい局面でもしっかりと繋げるシーンも見せており
センスの良さを感じさせた。
その山口の安定感を支えに長谷部、遠藤が攻撃で躍動した。

まだ世界レベルでは危険なミスや、判断のミスも目立ったが
それでもこのレベルでソツなくこなした山口の適用力の高さと守備の安定は、
レギュラーを勝ち取る可能性を感じさせた。


ポイント2.起点が増えた
大迫、本田で起点が二つできたことで本田の負担が減った
その分本田のミスも目立ったが、それでも大迫を第一ターゲットにした攻撃も見せており
中盤でつなぐだけ、細かいパスだけでなく
簡単なクロスやスルーパス、前線のポストプレーからのミドルシュートも増えており、
シュートシーンが非常に多く作れた。
これは大きな進歩と言える。



■選手総評
西川 6.0 
1点目は連携ミス、2点目は完全に個人技で上回られた。
じょじょに連携もよくなり、ロングキックの精度の高さも見せて、
GK争いで一歩も負けてないことを証明した。

長友 6.5
インテルのレギュラーであることを証明。
サイドで完全に圧倒したが、ロッペンへの詰めの甘さで失点。
後半はその反省を活かして香川とがつがつした守備で抑え切った。

吉田 5.5
攻守に安定してる中でやや不安を残すシーンも。
滑りやすい芝であったが足を取られて危険を招くことや
やや予測が甘いこともあった。
それでもしっかりと戦ったと言える。
繋ぎのシーンでも良いパスを見せる一方、判断が遅い場面も。

今野 6.0
運動量を活かしていい守備を見せた。
チームが前から行くときはやはりいい守備を見せる。

内田 6.5
前半のミスで叩かれるのだろうが、日本の攻めに大きく貢献したと思う。
長友のように個人で突破するシーンは少ないものの、粘り強い守備と
タイミングのいいオーバーラップ、また遠いところを見れる判断の良さと
ビルドアップの能力を見せた。
遠藤がいない前半のゲームメイクの一旦を担ったと言える。
同点に追いついたシーンでは素晴らしい判断でのオーバーラップから
ゴールの起点となった。

長谷部 7.0
前半のキーとなった選手。
攻守に奮闘し、さらに攻撃で違いを生み出した。
0-2となった前半に逆襲の一歩となるゴールをアシストし、
他にも前へ持っていく勢いと上手さも見せた。

山口 7.0
攻守に完全に中心としてプレー。
素晴らしいインターセプトを多く見せ、人にもスペースにも強みを見せた。
繋ぎでも勇気をもって前につなぐ場面も多く見られ、攻撃でも貢献した。
90分衰えない運動量も見せた。
判断や経験不足、連携不足はあるものの
守備の安定をもたらした最大の貢献者と言える。

本田 6.0
前半は厳しい出来。
コンディションの悪さも感じ、さすがのオランダ相手にキープできないシーンも目立った。
それでも後半のワンチャンスをしっかりと決めきり、引き分けに貢献。
後半、香川が入ってからは連携の良さを見せて素晴らしい崩しを見せた。


清武 5.5
ポゼッションに貢献し、攻守に安定した出来。
長友との相性の良さも見せたが、やはりチャンスで打たないシーンが目に付く。
ここのライバルは香川や、質の違う岡崎であることを考えると
もう少し清武ならではの違いを見せたい。
それでもこのレベルの相手にそつなくプレーできる資質の高さは見せた。


岡崎 6.0
非常に ひじょーーーに評価が難しい。
前半はオランダ相手に本気のパス回しを見せる日本の選手についていけず。
ワンテンポ遅くて飛び込めなかったり、シュートに行けない場面が多かった。
それでもめげない精神力と運動力を見せて前線からの追い込みで貢献。
キープしきれなかったり、ドリブルの技術のなさも目立ったが
それ以上に執拗に追い回す守備はオランダを確実に嫌がられていた。
同点のシーンでは素晴らしい繋ぎも見せた。


大迫 7.5
このレベルの相手に1ゴール1アシスト
これ以上ない結果を残した。
またポゼッションでも奪われるシーンは少なく、安定感のあるポストプレーと
確実な技術を見せた。
身体の使い方がうまく、足元の技術もあるので、調子のいい前田、というイメージ。
日本の攻撃にはやはり彼のようなタイプが合うのではないか。
ついに最後のピースが見つかったか?


****交代

遠藤 6.0
さすがベテランという動きを見せた。
落ち着きと、前へのテンポの違いを創りだす。
さすがにこういった試合にはコンディションを合わせてくる。
これまでの微妙な出来はもはやわざとなのか・・・w
ロングレンジのパスも極めて正確であり、ゲームメイクの起点となった。

香川 6.5
ドリブルで相手を圧倒する香川を久しぶりに見た。
完全に相手が怖がっており、自分主体でプレーで威力を発揮。
さらに戻りの速さも見せて、また守備での当たりの強さも手にしつつある。
攻守に貢献できることを見せて、前線での違いを作るプレーも健在。
途中出場する選手がマンUの準レギュラーでは相手も怖いだろう。
出色の出来だった。


酒井宏 5.5 あまり試合に入れなかったが、守備での強さは見せた。
酒井高 5.0 アグレッシブに動くも攻撃での質を欠いた
柿谷  4.0 守備時の前線からのプレスの甘さと、最後の精度の低さで絶好のチャンスを逃す。


ザッケローニ 7.5
このタイミングでの最高の内容を披露。
海外組みが調子を戻しつつあり、善戦する事はある程度予測できた(個人的には)が
それでもここまでの内容は想像しなかった。
さらに山口、大迫が声高にレギュラー奪取を叫ぶ内容を見せつけた。
ポジティブな点が多い収穫の多い試合だった。


■最後に、、、
収穫:
なんといっても1トップの大迫の爆発と安定。
そして守備的MFの山口の台頭。
内田のビルドアップを利用し、遠藤がいなくとも戦えたことは大きな収穫だろう。
さらに香川、長谷部、遠藤が復調してるのは心強い。
内田、長友は高いレベルで安定しており、ベルギー戦も楽しみ。
相手によってはまさかの香川をジョーカーとしてもアリか、、、、、

課題:
本田に疲労の色が見えるが、ここだけは代えが効かない。
また吉田が試合感のなさが目立った。
責められるシーンが少なかったので目立たなかったが
DFラインはもう少し不安が残る。
森重を加えた3バック(実質5バック)で守りきる、というシーンも試しておきたい。


それでも収穫が多い試合だった。