徒花零れる~5*side-T | ■彩遊~イロドリアソビ @艶が~る

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『色』がテーマの艶が〜る創作になっております。

乱筆乱文ではありますが、ちまちまちまちま月並みなお話書いてます。

基本的に全体公開でお送りしています★
やや…艶っぽいお話をUPするときのみ
限定公開にさせていただいてますー!

よろしくお願いいたします★

徒花零れる~

※花咲く戯作の二律背反・非公式完結編です

※BL要素を含みますので、お嫌いな方は

 速やかに素通りをお願いいたします。




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長州に戻り


飛び回るように、多くのことをこなし
息つく間もないほどに動き回っても


一たび止まれば
どこもかしこも…冷え切るようだ


指先が凍えるように冷たく

無意識にその指を噛めば

そこにあるはずの熱さえも奪われる


名を呼ばれ

指示を仰がれ


…時折、嫌な顔をされながら

それでも必要とされていることは理解できる


自惚れでもなければ

自負心が強いわけでもない


ただ、そこには

なにかが欠落している


…信じられるものを見失えば

迷いが生じ

迷いが生じれば


即ち、死が待つのみ


松陰先生を失ってから
迷うこともなく
ただひたすらに走り続けてこられた



今もまだ、止まることなく走り続けられる


凍えそうに冷え切った指先に反し

逃げ場もなく

逃がす術も持たずに

燃え続ける、猛火


ただ…己の中に燻る熱を
消すことなく、宥めあえる
…あいつが居れば


熱に身を焦がすことなく
己を燃やし続けることができる


『受け入れろ、古高殿』


……俺を
……己を


『…百戦錬磨のお前が』
『こんな簡単なこともわからないのか』


瞳を見据えたままヤツの手元から杯を奪い
ぐいと一気に中身を煽る


そうして

ヤツの唇へ
自らの唇から
酒を流し込む

あの日、ヤツがそうしたように


冷え切っていたはずの指先で

顎をくいと上げさせる

整えられた顎髭の近くを

細く一筋の水跡が通り


さほど多くない量の酒が飲み干されたことを

上下する喉元で知る


その様を見た、その一瞬で


指先に体温が戻るような気がした