ある広い草原に、一輪のタンポポが咲いていました。
鮮やかな黄色の花を付けたタンポポの周りには、いつも友達のカモメや近所の森のリスが遊びに来ては
毎晩のようにそれぞれの夢の話をしていました。
タンポポの夢は、この大きな空を自由に飛びまわり…いつもカモメが話して聞かせてくれる”海”を見に行くことです。
カモメは言います。
『タンポポさん、早く一緒に海を見にいこうよ~。そしてみんなで水浴びをするだ~♪気持ちいいよ~』
カモメは実に詳しく海について話をしてくれるので、タンポポはまるで自分がすでに海に行ったことがある気分にさえなっていました。
そしてタンポポが咲いている草原には立派なお城が建っていて、この庭にはそれはキレイな向日葵が咲いていました。
タンポポは、同じ黄色の花びらを持ち、好みも似ているし
いつでも胸をはり、太陽に向いてまっすぐに咲いている向日葵がとてもとても大好きになりました。
向日葵はいつも見ているお城でのパーティーの話や、お城に来るお姫様や王子様の話を毎日聞かせてくれるので、
タンポポはまるで自分がすでにパーティーに参加している気分にさえなりました。
そんなタンポポを見ていたカモメが
『ぼくがタンポポさんを口ばしで挟んで飛んで、お城のパーティーも見せてあげるし、海に連れていって水浴びもさせてあげるよ~
そしたら、すぐにでも夢がかなうよ♪』
と提案しました。
しかし、タンポポは自分の茎を切ってまで、今すぐ”海で水浴び”がしたかった事なのか?
考えだしたら…なんだかハートにぽっかり穴が空いたモヤモヤ気分になりました。
そんなタンポポの様子をずっと見ていた向日葵が…
『本当の自分を見失わないで…。タンポポはいつの日か、ちゃんと綿毛になって自由に大空に飛んでいくのは決まっているんだから♪
僕は、そんなタンポポが大好きだしとっても尊敬しているんだょ!』
『焦らなくていいんだし、自分で海まで飛んで行くというプロセスが実は大切なんだよ。
自分がどうありたいか、ただそれだけのことだよ。』
向日葵に言われて、ハッとしました。
自分の本当の願いは、風に乗って大空を飛びまわり新しい世界を知ることで
”自由な感覚”を味わうことだったんだ…と。
本来の願いの本質がブレていたことに気づきました。
さらに向日葵は、タンポポに言いました。
『そして、これからはもっとなんでも素直に話してくれたら僕もうれしいよ…お互い苦しいときの支えにはならないの?』
『僕だって、タンポポになんでも素直にいろんな事を話したかったんだ~!素直になる事でこそ、ありのままの自分を受け入れることができるんだよ。』
『いつだって自分らしくいてくれていいんだよ♪そのままのタンポポが大好きなんだ♪』
こういわれてタンポポは、
”いつでも太陽に向かいキラキラまっすぐな向日葵に、ハートのモヤモヤを話したら嫌われてしまうのではないか?”
という思いは、自分が向日葵を信じていなかったという事だと気づき
その気付きがまた、タンポポを大きく成長させてくれました。
いつの間にか…、タンポポの黄色の花びらは真っ白な綿毛に変わり
綿毛は、風に乗って大空に飛び立っていきました。
そして次の夏が訪れた頃には…お城の向日葵のすぐ横には、可愛いタンポポが仲良く並んで咲いていたそうです…♪
