交通事故においては、後遺障害がよく問題となります。後遺障害というのは、治療を継続しても症状の改善が望めない状態において身体に残存している障害のことをいいます。そして、後遺障害逸失利益というのは、後遺障害が残存したために失った、被害者が将来にわたって得られるはずであった利益のことをいいます。 
甲山五郎(以下「甲山」という。)作成の検討書(乙三)によると、上記青色線状痕の高さは約九〇センチメートルとしているが、同人作成の意見書(乙一)には上記線状痕の高さは八五ないし九〇センチメートルであると記載されている(八頁)。このように、線状痕の高さに関する記載内容が変わった理由について問われても、甲山は、勘違いであるとの説明にとどまり(証人甲山五郎の尋問調書一七頁)、具体的かつ合理的な理由について説明できていない。上記意見書にはメジャーを持って計測している写真が載っているのであるから、勘違いすることは考え難く、したがって、上記青色線状痕の高さは約九〇センチメートルとする上記検討書は信用できない。 
交通事故による怪我の治療に要した通院交通費については、原則として、現実に支出した費用が交通事故の損害として認められます。金額としては、自家用車を利用した場合には、ガソリン代、駐車場代、高速代等の実費相当額が、損害として認められます。また、電車やバス等の公共交通機関の料金の限度で認められるのが原則ですが、タクシーによる通院であっても、それがやむを得ない場合にはタクシー代も損害として認められます。