『経営予測エイジ』を購読しています。

2月号が届いたので、パラパラと目を通しました。

目次を見て一番目を引いたのは、
P16「現代日本の若者たちの驚異的な『無欲』さ」という記事。
NEWS SOURSEは、
宝島1月号。筆者は、大前研一氏。

いま、25歳くらいの若者を見ていると、「日本人は一昔前とはすっかり変わってしまった」という思いがする。とにかく欲がなさすぎるのだ。

書き出しから、ドキッとする文章。

大前氏が述べる、「現代日本の若者に欲がない」理由を要約すると、

いまの20代前半の若者は、「バブル崩壊」を少年期に迎えており、
物心がついて以来、日本の未来に希望をもたせるようなニュースを聞いたことがない。

それが「真」である、という前提で若者の深層心理を推測すると、
無欲である要因が、以下の2点挙げられる。

①高齢者が金を貯めこんでおり、若者に資産が回っていかない。
②お金がなくても暮らしていける環境がある。

若者の無欲化は日本経済に大きな打撃を与える。
依然世界トップレベルである日本の若者の知的潜在能力を引き出すため、
意欲と希望をもたせるような動機付けに真剣に取り組むべきだ。

以上のような内容ですが、
日本の若者に欲がない理由を現役の(?)25歳なりに述べさせてもらおうと思います。 
そもそも、私は、「日本の若者に欲がない」、とは思っていません。

私自身、お金が欲しいですし、出世もしたいです。
もちろん私は、現代日本の若者の中で特殊な存在ではありませんがそのように思っています。

現代日本の若者にだって『欲』はあるのです。

ではなぜ、『無欲』に見えるのか。
それは『欲』はあるけど、それを叶えることを『諦めている』からだと思います。

それを『無欲』と言うのだ、と言われればそこまでですが、
『欲』は間違いなくあるのです。


ではなぜ『諦めて』しまうのか、
それは『取引コスト』の考え方で説明がつきます。


『取引コスト』については、
ベストセラーになった「スタバではグランドを買え!」にわかりやすく書かれていますが、
『「時間と労力(手間)、余分なおカネの支出、他の資産の使用、心理的負担」といったものが、買い物の代金とは別にかかること』
わかりやすく言うと、
徒歩15分のスーパーで買えば98円のペットボトルのお茶を、
家の前の自販機で150円出して買っちゃうときのスーパーへ行くめんどくささ(時間がもったいない、歩くのが辛い)のようなものです。

現代の若者は、
「頑張ることで得られる対価(お金や地位)」と「頑張らないことで得られるラクさ」、
を天秤にかけ、
往々にして、後者をとってしまうのです。

15分も歩くくらいなら、1.5倍のおカネを払っちゃう、というのと同じです。

意欲的に働くこと、は現代日本の若者にとっては、
「取引コスト」が高いのです。


家に近いけど価格が高いコンビニと遠いけど安いスーパーは、
それぞれ競争をしながらも両方生き残っています。

しかし、
取引コストの高い「意欲的労働」と取引コストの安い「無欲行動」の競争は、
20代という年齢層において、後者が勝とうとしています。

前者は生き残りを賭けた工夫をしなくてはなりません。
スーパーに負けないように、
自社ブランドの低価格商品を出すコンビニのように。


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