これは現代最強呪術師と十種影法術使いの呪術師との間に誕生した、長男の育児に日夜奮闘する姿を描いた物語である。―――(血界アニメOP前風)
少しひんやりとした空気を含んだ風が心地よく吹き抜けるある日、高専内で現代最強としては何とも似つかわしくない悲鳴があがった。
「ちょっ。悠(はるか)どこ掴んで…いだだだだだ髪の毛もげるううううう めぐっ、恵ヘルプ!マジヘルプ!!」
自分とそっくりな容姿をした長男――悠(はるか)を抱っこした五条はかかってきた電話で席を外した伏黒に助けを求めた。
抱っこした体勢が悪いのか、悠にとって落ち着くポジションがあるのか否か。正面から抱き上げると、伸ばした手がむんずと五条の髪の毛を掴み離さないでいる。しかも生後6か月とは思えない力強さで。
「先生!伏黒まだ電話中!」
「あははは(笑)うっわあ懐かしい!(大笑)ほらほらー、悠。パパ痛がってるしハゲるかも知れないから一旦おいで」
先程代引きで届いたダンボールの荷物をかかえ戻ってきた藤村蓮がテーブルにそれを置き、五条から笑いながら悠の抱っこを代わった。
「はいはい、よしよぉーし」
「うわぁすげぇ…全っ然泣いてねぇ…!!」
以前釘崎や真希が抱っこするところを見て、「なぁ俺にも抱っこ代わって!」と代わったらものの数秒でギャン泣きされた虎杖が一切泣かれずに悠を抱っこした藤村へ羨望のまなざしを送った。
「ねぇ悠仁見た?今の。プロだ…プロがいる…!!」
「私、12コ下の弟いるってい言ったじゃん」
これくらい毎日のようにやってたわ。と藤村は慣れた手つきで悠の背中をぽんぽんしながら、揺りかごのように左右に揺らしはじめた。
「うるせぇよお前ら…」
「おっママ帰ってきた。伏黒、悠パス」
少々長くなってしまった電話から戻ってきた伏黒へ悠を渡した藤村。すると、今さっき起こった事を笑いながら話しはじめた。
「さっきね、パパが髪の毛思いっきし掴まれてさ。髪の毛もげるぅー!つって涙目でヒーヒー言ってたよ。ウケるよねー(笑)」
「ありがとな藤村。よしよし、パパに遊んでもらってたか」
伏黒は普段あまり見せない優しい表情で悠の頭をなでると、彼はふにゃりと笑みを浮かべた。
「あ、伊地知さんから電話だ。もしもし」
「んあーあー、まー! びえええええ(泣)」
伏黒が立ち上がった時に、おいてかないでえええええと察したのか彼と同じ紺瑠璃の色をした瞳から大粒の涙をこぼしだした。
「悟さんちょっと電話してくるんで、持ってる全ての知識フル活用して悠泣き止ませて下さい」
「えっ。それめっちゃ難しくない?」
それじゃ。と退室すると、近くで自分ですり傷を手当てしている虎杖が「頑張れパパー」と声をかけた。
「悠仁までそゆこと言うのー?!」
「びえええええええ(大泣)」
あわてて抱っこして、約2分くらいで泣き止んだ悠であった。
あとがき
元ネタは私がお嬢(姪っ子)を抱っこした時の体験談。当時生後6か月頃で、思ったよりむんずとやられ地味に痛かったらしい。ヘアゴムで髪の毛縛ると誓ったとか。「痛いけどありがとうございます!!」
本編は冒頭の一節を血界アニメのOP前に入るナレーションぽくしたくて、それっぽくしてみました。「~の物語である。」つって。
悠の髪色が五条と同じで、瞳の色は伏黒と同じ。アニメ版を採用してます。紺色だけど、どんなだ…?とアニメのスタートガイドブックで色を確認するもあまり分からず、ロフトで衝動買いした日本の色見本帖シール・星月夜の色 から紺瑠璃を採用。絶対間違ってるかもだけどな!
虎杖のすり傷は体術訓練で五条にすっ飛ばされ、木に落ちバサバサッと墜落。顔や両手足と範囲広め。ばんそうこう無駄遣い装置になったのだ。(文スト) 五「硝子のとこ行けば?」虎「いや、こんくらい行かなくてもいいっす」てなカンジ。
書いててめっちゃ楽しかったのは、プロット段階からある五条先生の「プロだ…プロがいる…!!」のセリフ。確か実際に妹氏(お嬢ママン)から似たような事言われた気がする。うろ覚え!
あと虎杖の「うわぁすげぇ…全っ然泣いてねえ…!!」とか。