【鉄道事故史】  暴走列車、乗客約900人を乗せて駅ビルに突っ込む。



只今、鉄道事故史「土浦駅三重列車衝突事故」について調べています。

これはあとで掲載しますが・・・。

いろんな災害・事故の史料を読みあさっていたら、それとは別のとある気にある鉄道事故の記事を発見しました!

事故・災害といっても様々な事故がありますが、茨城県内におけるおもな重大事故・災害をまとめると以下の通り。(戦災・水害・事件・交通事故・自殺を除く)


↓↓↓


①【火災】   昭和4年  石岡の大火。延焼、市街の3分の1を消失
②【鉄道事故】 昭和14年 水郡線袋田~常陸大子間、列車転落事故
③【鉄道事故】 昭和14年 常磐線取手駅構内、下り列車追突事故
④【鉄道事故】 昭和20年 茨城交通茨城線、脱線転覆事故
⑤【火災】   昭和22年 那珂湊市の大火。延焼、1400戸消失。
⑥【火災】   昭和22年 潮来町大火。105戸消失。
⑦【火災】   昭和22年 大宮町大火。延焼、92世帯消失。
⑧【火災】   昭和31年 下館市大火。延焼、83戸消失。
⑨【鉄道事故】 昭和36年 東海駅急行いわて脱線転覆事故
⑩【火災】   昭和38年 水戸市大町大火。映画館オデオン座を始め12戸消失
⑪【鉄道事故】 昭和39年 常磐線日立-多賀間、貨物列車脱線転覆事故
⑫【航空機事故】昭和42年 美野里町で航空自衛隊第7航空団のF104Jが墜落。死傷者はなし。
⑬【航空機事故】昭和42年 小川町で航空自衛隊第7航空団のF104型戦闘J型戦闘機が墜落、乗員1名死亡。
⑭【航空機事故】昭和44年 那珂湊市の北東5kmの沖合いで航空自衛隊第7航空団F104型戦闘機が射撃訓練から百里基地への帰途に墜落。操縦者1名死亡 
⑮【火災】   昭和45年 水戸市高層ビル、中央ビルの火災
⑯【鉄道事故】 平成4年  関東鉄道常総線でディーゼル列車暴走。駅ビルに突入して停車。
⑰【航空機事故】平成9年  龍ヶ崎市上空で陸自ヘリと小型機が空中衝突、両機墜落炎上。自衛隊員2名と小型機操縦1名死亡。
⑱【原発事故】 平成9年  東海村動燃再処理工場で高レベル放射性廃棄物が漏れ出し爆発、火災発生。作業員37名被爆。(放射能漏れがあったようで作業員には退避命令がでたが、なぜか周辺住民には避難指示は出ず)
⑲【原発事故】 平成11年 東海村JCO臨界事故。
⑳【地震災害】 平成23年 東日本大震災。
 





このうち、気になったのが⑯の鉄道事故。

常総線のディーゼル車が暴走して駅ビルに突っ込むという大事故があったらしい。

取手でこのような事故があったなんて知らなかった~( ̄∇ ̄U)

暴走列車、まるで映画の世界のようだ・・・・。

どの様な事故だったのか。

以下参照↓↓





 1992年(平成4年)6月2日7時57分頃、関東鉄道常総線で取手行きディーゼル列車(4両編成、乗客約900人)が西取手駅を出発する際、何らかの原因で保安ブレーキ装置が作動し、ブレーキがかかった状態になったため、運転士(22)は車外に出て各車両床下の保安ブレーキ締切コックを全て閉じた。同コックを閉じると同コックから制御弁~ブレーキシリンダー内の圧縮空気は同コックの側穴から排出され、保安ブレーキが作動しない状態になった。
 その結果、列車はブレーキが掛かっていない状態となり後ろ向きに坂を下り始めたたため、最後部車両の後部車掌室にいた車掌(45)は非常用の車掌弁レバーを引いて常用ブレーキを作動させ列車を停止させた。
 (列車のブレーキは、通常の「常用ブレーキ」と予備の「保安ブレーキ」の2系統がある。常用ブレーキは、運転席のブレーキレバーで作動させるが、非常時には車掌席の車掌弁(非常ブレーキ)でも作動できる。保安ブレーキ装置は、常用ブレーキ装置が作動しない場合に保安ブレーキ装置を押すことにより、常用ブレーキとは別経路でブレーキシリンダーに圧縮空気を送りブレーキをかける装置。)



イメージ 1


 

 その後、運転士は保安ブレーキ装置が使用できなくても常用ブレーキが使用できれば大丈夫と考え各車両の保安ブレーキ締切コックを「開」の状態に戻さなかった。車掌も、これまで車掌弁レバーを引いて常用ブレーキを作動させた経験が無く慌てたことや、車掌弁レバーを引いた後の処置をよく知らなかったことなどから車掌弁レバーを元の状態に戻さなかった。更に、車掌室の保安ブレーキスイッチのボタンが何らかの原因で押されてONの状態(ブレーキ作動)となったが車掌はこれに気付かなかった。
 しかし、保安ブレーキ締切コックが「閉」の状態では側穴が開いたままとなるため、車掌弁レバーが引かれた状態であるとともに保安ブレーキスイッチが「ON」であることから、常用ブレーキ系内と保安ブレーキ系の圧縮空気が制御弁を経由して同側穴から次第に抜けていき、常用ブレーキと保安ブレーキが全く作動しない状態となった。

 8時10分頃、運転士は発車が焼く13分間遅れて急いでいたことから、運転室の元空気溜めの圧力計が規定値より低い約5kg/平方cmにしか上昇していないことには気付いたものの、運転取り扱心得及び鉄道運転士作業基準に定められた応急処置後のブレーキ試験を実施しないまま、車掌の出発合図に従い
西取手駅を発車。車掌も列車の遅れに気をとられ、運転士と連携してブレーキ試験を実施しないまま出発合図を出した。
 
 取手駅手前の下り勾配で、運転士は減速しようとしたがブレーキがかからず、車掌も車掌ブレーキ弁を引いたがブレーキがかからなかった。
 運転士が「ブレーキが利きません」と車内放送をし、満員の乗客が一斉に後方に押し寄せた。

 8時13分頃、列車は取手駅8番線、車止め(高さ1.2m、幅1.4m)を乗り越えて、6階建てビル「ボックスヒル」の2階の壁を突き破って、先頭車両の4分の3を(約15m)を突っ込んで止まった。

 この事故で男性乗客(40)が脳挫傷で死亡。約250名負傷。






イメージ 2




          







          


          

          

          


          



                             →動画を見る①
                             →動画を見る②
                             →動画を見る③










 事故当時は朝の通勤ラッシュという事もあり約900名の乗車ということですが、最終的に1名の死者を出す程度にとどまったというのは不幸中の幸いといったところでしょうか。脱線転覆すれば100名以上の死者がでていたことでしょう。駅ビルだから買い物客もいるでしょうし、対向列車と正面衝突の危機もあったと思います。しかし最終的には脱線転覆せずに駅ビルに突っ込んで減速して止まれたというのは、脱線転覆という最悪な状況から見れば奇跡でしょう。もっと多数の死者をだしてもおかしくはなかった重大事故だったと思います。しかし、お亡くなりになられた男性乗客の方は残念な事であります。ご冥福をお祈りします。

 もし、あなたが乗車中の電車で「ブレーキが利きせん!」と言われたたらどうしますか? やですね~( ̄∇ ̄U)