く《STORY》
ある土曜日の夕方。スーパーマーケットに買い出しに来たローサとカーウィン。突然の雨の中、たくさんの買い物袋を持って家路へ急ぐ。タクシーが入ることを拒むその街は、貧しい人々が暮らすスラムだ。帰り着くと、ネストールは店番もせずに、こそこそクスリをやっている。
買い出してきた雑貨や菓子類を分けた後、仕入れた麻薬を砕き、手慣れた様子で小さなビニール袋に小分けにする。これが家族の生活を支えているのだ。
夕食を買いに出掛けるローサ。息子同然に面倒を見ているボンボンが「ローサ、“アイス”を売って」と近づいてきた。どうやら“アイス”とは、麻薬の隠語のようだ。
夕食を家族でとろうとしたその時、突然男たちがやってきた。
「警察だ!全員、動くな!ブツはどこだ?」
「ケガ人が出る前にブツを出せ!」
手錠をかけられ連行されるローサとネストール。
警察署。
「禁止薬物の不法所持だ。言い逃れはできないぞ」
「刑務所に入るわけにはいきません。貧しいんです」
「20万で手を打ってやる」巡査がささやく。
「そんな大金……」ローサは口ごもる。
「協力しないならブタ箱行きだ。金がないなら売人を売れ」巡査はたたみ掛ける。
ローサは売人のジョマールを売った。
捕まったジョマールのバッグから大量の麻薬とカネが出てきた。巡査たちは、嬉々として、押収したカネを山分けしている。ひとりの巡査がカネをポケットに入れ、署長室に向かった。
巡査たちはジョマールにも金を要求した。
ジョマールは上級警部へ携帯メールで助けを求めるが、巡査たちにバレて、袋叩きにされる。
その様子を見ていたローサに巡査のひとりが拳銃を向けて言った。
「警察に連絡したら殺すぞ!区長に連絡しても同じだ」
ジョマールが持っていたカネ10万、ジョマールの妻・リンダが見逃し料として払う5万。
20万ほしい警察は残りの5万をローサたちに要求した。
「カネを払うまで、両親は帰せない」
警察署にやってきたローサの子供たちに3級巡査部長が告げる。
子供たちは両親のためにお金を集めることを決意するのだった。
この作品では心理を描いていません。アクションがあるのみです。登場人物は常に動き、争いあい、歩き、倒れ、立ち上がります。
監督:ブリランテ・メンドーサ
脚本:トロイ・エスピリトゥ
出演:ジャクリン・ホセ、フリオ・ディアス、マリア・イサベル・ロペス
2016/フィリピン/110分/MA’ROSA
配給:ビターズ・エンド
ドキュメンタリー仕立てのフィクションで、音楽無しで地味で、盛り上がりもありません。



