悲劇の朝
今朝の調教トラックで 私達は2歳の牝馬を亡くしました。
調教の後 スイミングプールへ連れて行くのが日課となっていますけれど
ワーカーの1人が2歳牝馬のジェマイマを連れて、
泳ぎ終わった後 突然馬が何かに驚き
ヘッドカラー(無口)に
スイミングする際に付けるステンレスのポールを繋げたまま 逃走。
私はその時繋ぎ場に居たので
そんなことちっとも知らなかったんですけれど
ローワン君が連絡を受けて みんな走って馬を捕獲しに行ってしまいました。
その後、
よその調教師さんが 「パット いるー!? 馬が角にいるわよ!!!」と
教えてくれたのですけれど
「今 捜索に行ってます!」と私が答えた後
その角を見たら みんなそこにいて
地面に横たわってるジェマイマが居ました。
ポールをつけたまま逃走したので
↓こういう風に泳がせる
走ってる間にポールが柱にぶつかり その衝撃を馬が受けて
私が見た時に ジェマイマの胸に大きな裂傷があるのが見えました。
一度立ち上がっていたのは見たんだけど
その後獣医によって安楽死処置されました。
もしかしたら脚を骨折したのかもしれません。
詳しいケガの詳細は知らされていませんけれど
どうにも出来ないと判断されたのでしょう。
四肢を伸ばしきって 地面に横たわり
ピクリとも動かないジェマイマ。
サラブレッドは非常に驚きやすい性質を持っています。
時にその力はとても強いので 人間が抑えようとしても
負けてしまい その結果放馬となってしまいます。
運がよければ少々の傷で捕まえる事ができますが
ジェマイマの場合何も解らない2歳馬なので
ただ興奮して逃げ惑うばかりでした。
Fastnet Rock(ファストネット・ロック/デインヒル産駒)という
オーストラリアでは人気の種牡馬の産駒のジェマイマ。
日本では 社台グループの吉田氏が所有する牝馬「モシーン」が
Fastnet Rock産駒として有名ですね。
将来を有望視されていただけに このような事故で亡くしたことが
非常に残念でなりません。
何よりオーナーさんに申し訳ない。
まだトライアル(模擬レース)さえしていなくて
みんなで大切に育ててきたので
その悲しみは深いです。
私も朝から大泣きしてしまいました。
メルボルンカップの日、
アドマイヤラクティがレース後に突然死しましたけれど
もう1頭、レース後マウンティングヤードに戻ってきた馬が
観客の振る 大きなオーストラリアの国旗に驚いて
暴れて後脚をフェンスに引っ掛け骨折、
そのまま安楽死の処置がされました。
大きな体を支えるため、
脚を骨折するとそれが致命傷となる場合が多いです。
それもサラブレッドが持った宿命。
朝から切ないです。
R.I.P ジェマイマ

(※R.I.P = Rest In Peace 「安らかに眠れ」という意味で
誰かが亡くなると『R.I.P 誰々』 と英語では表記します)
ジェマイマの写真はこの1枚だけだ・・・
ご訪問ありがとうございました