認知バイアスとは 物事の判断が、直感やこれまでの経験にもとづく先入観によって非合理的になる心理現象を指します。
投資家にとって認知バイアスは非常に危険な存在です。
「好決算なら株価は上がる事が多い」
ものですが
「織り込み済みで上がらない」「逆に下げる」
という経験をした人は多いと思います。
しかし、何らかの原因で認知バイアスが発生すると、好決算が噂されただけで決算予測と現在の株価水準を精査する事無く「買い」に走る事になります。
ビューティ花壇(3041)は、いわゆるトンピン銘柄(※)で、5月9日から5連続のストップ高になり話題になりました。
イナゴ投資家が殺到して株価が吊り上がったのではありません。初動では出来高が少なく仕モブキャラが買える状況ではありませんでしたから。
そう、イナゴ投資家は買いではなく売りに殺到したのです。
トンピン銘柄=噴き上げてすぐ落ちるという先入観が認知バイアスを生み出し、イナゴ投資家に上昇局面にあるビューティ花壇の空売りに走らせたと言う訳です。
結果、5連続S高でなかなか下落しない株価に空売り勢は追証を支払わなくてはいけなくなりました。落ちるナイフを握ってはいけないとは言いますが、まだ落ちてもいないナイフを握るなんて…。
認知バイアスに陥っていない人間には理解不能な行動ですが追証が払えず市場を退場した人も少なくなかったようです。
そして8月にはいりビューティ花壇劇場の第二幕が始まりました。
トンピンがフォローしている会社公式アカウントや関連するアカウントは、トンピンが今後なんらかの動き(仕手参入)がある銘柄と言われています。
8月23日午前、トンピンがビューティ花壇専務のアカウントにフォローを外しました。トンピンの動きを監視している市場参加者は、トンピンがビューティ花壇の仕手戦から抜けたと判断、空売りを始めました。
実は前日、23日から信用空売り禁止措置の解除が発表されていたのです。
しかし、午後になりトンピンは再びビューティ花壇専務のフォローを再開、S高になりまで買われました。
トンピンはX(Twitter)のフォローを外したり、フォローしなおしたりしただけですが、見事に市場は彼の思惑通りに踊らされたのでした。
トンピンのフォロー・アンフォローには仕手線の重要なシグナルという認知バイアスで、再び焼かれた空売り勢。
トンピン銘柄の空売りは危険という方向になぜバイアスが働かなかったのか、残念でなりません。
わたしは、テクニカル一辺倒で「チャートにすべて現れるのでファンダメンタルズ分析はしない」というタイプのトレーダーを懐疑的に見ていた時期もありますが、認知バイアスで失敗するトレーダーを多数見てきた結果、
「認知バイアス対策にチャートしか見ないと言うのは有効かもしれない」
と思い始めています。