【消防監修のひとりごと Vol.4】部屋中が火の海って、どんな状態? | LaboFB・永山政広の防災ブログ

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減災研究室ラボラトリー・フィードバック(LaboFB)を主宰する永山政広のブログです。防災に役立つ情報を発信していきます!

ドラマ制作の基本になるものが脚本(台本)です。

ここに書かれていることを忠実に表現するために、監督をはじめ出演者、美術スタッフ、特殊効果担当など、様々な人々が知恵を絞っていくわけです。

火災シーンでよくあるのが、「○○がドアを開けたら部屋中が火の海だった」というパターンです。

この文章から皆さんは、どんな状況をイメージしますか?

多くの人は、次の写真のように床面いっぱいに炎が広がり、所々から勢いよく立ち昇っている状況を思い浮かべるのではないでしょうか。

ドラマでも、このような映像が流れることが多いと思います。

しかし、実際の室内火災で、このような状況になることは、極めて稀です。床にガソリンや灯油などの引火性液体をまいて火をつけた場合くらいでしょう。それ以外は、このような燃え方はしません。

では、どのような燃え方をするのかと言うと……。

この写真はソファから出火したケースですが、ほとんどの火災も同じように、まず天井まで炎が立ち昇り、次に天井に沿って横へ広がっていき、やがて床面付近が燃え出すという順序が一般的です。

つまり、床面ではなく、天井付近で燃え広がるのだということです。

したがって、室内の上部ほど激しく燃えることになります。

ただし、ドラマを撮影する際、天井付近で炎が広がる映像を撮るのは、なかなか難しく(本物の火災と同じようなセットを作る必要があるので)、最初の写真のような映像になりがちです。

 

なお、このような一般ではあまり知られていない室内火災の特徴をトリックに使ったドラマがあります。

松本潤さん主演の『99.9 -刑事専門弁護士-SEASON II(第9話)』です。

このドラマでは、「室内の上部ほど激しく燃えること」以外にも様々な燃焼現象の特徴が、謎を解くカギになっています。

私が監修を担当したドラマの中でも、火災現象をトリックにうまく取り入れた作品の一つに挙げられるものです。

ビデオをお持ちの方は、じっくりとご覧になってください。