妻が生前一番楽しそうにしていた12月
ママ友とその子どもたちで毎年恒例のクリスマス会を開き
20人近く集まって、ワイワイガヤガヤと
カラオケやプレゼント交換会をして
みんなで歌って、写真撮って
何でもない2~3時間を満喫して帰って来ていた
その後は家のクリスマスイブになるようにしていた
娘へのプレゼントとケーキのオーダーをどうするか
プレゼントを娘に内緒で買いに行き
バレバレの荷物を持って帰って来てドヤ顔な妻
それが終わると今度は娘のバースデー
今度はホールケーキをオーダーし
娘と一緒にプレゼントを買いに連れ出された
当日は細やかながら手料理を振る舞い
あかりを消してろうそくに火を灯したケーキで
妻の歌声でハッピーバースデーを歌う
年末は買い出しに家族で出かけ
雑煮の材料を買い込み、私の好きな八つ頭と伊達巻を買い足し
娘の好きな錦たまごを品定め
刺身にローストビーフは定番
30日になると、八つ頭を剥くのにひと仕事
手がかぶれないように手袋をして包丁で皮剥きをするも
剥けたら芋のヌルヌルで手が滑る
「パパ~抑えて!」って何度となく呼ばれ
やっとの想いで鍋に投入
保存していた米の研ぎ汁で煮込みアク抜きをし
味付けは私の担当だった
妻のご両親は北海道のご出身で
妻も小学生までは北海道で生まれ育った
そのお義母さんから受け継いだレシピで
利尻昆布で採った出汁に醤油ベースではあるが砂糖を混ぜ
いろいろな野菜や根菜、こうや豆腐、鶏もも肉を切って煮込む
これが我が家の雑煮のベースとなる
このベースに食べたい個数の切り餅を入れ5分煮ると
我が家の雑煮の完成
11月下旬にあれやこれや散々悩んで決めた
早割のおせちが大晦日に届くも
別のお重に出来上がった八つ頭の煮物を1段詰め
買い足しの紅白のかまぼこと伊達巻と錦たまご
黒豆、ローストビーフなどをもう1段
妻の実家で貰ったこの時期驚くほどの高額な「いちご」を
さらにもう1段で三段重を別に準備
北海道のご出身なご両親からは必ず毎年年末に
たらばか毛ガニを御裾分けして頂き
娘が食べやすいように、足の数本から身を取り出して
カニほぐしを作る
紅白が始まりやっといつものテレビの前のソファーに座る妻
SMAPの大ファンで、コンサートも欠かさずに参戦していたが
解散後は紅白を観ても「なんかおもしろくない」と不満顔
ファンが全く望んでいない、国民的アイドルグループの突然の解散
多くのファン仲間の涙で溢れ、愕然としていた妻を思い出す
2組目が終わった頃、再びキッチンへ
年越しそばの準備
基本は鶏ももをベースに出汁を取り
そばを煮て準備するのは私の役目
出来上がり、最後に辛味大根を擦り食卓へ
妻曰く、ご両親と育った北海道の大晦日は
まず、普通に夕飯を採る(お義父さんの晩酌の時間)
21時頃になったら、年越しそばを頂く
そして年越しの少し前に、おせちや煮物、海産物を食卓に並べ
年明け前から家族みんなで食べるのが恒例だそうで
いつの日か私もその習慣になっていた
そんな恒例を毎年毎年重ね
年明けを迎えた妻の一言
「あ~ これで今年も無事に越せたねぇ~」の決まり文句
今考えれば妻に苦労ばかりを掛け
旅行にも行けず、好きな洋服もアクセサリー、化粧品も最低限で
結果、贅沢を我慢させてしまった私
つくづく嫌になる
後悔と反省で涙が溢れだす
でももう妻は帰っては来ない
前を向いて歩く 強制的にでは無く これは当たり前にやるしかない
しかし逝ってから2年も経つのに自分の心の空虚感は一向に塞がらない
本当にごめん...