松浦勝人という人間。。。。


ちょっと前に確か似たようなことをどっかでで書いたかもしれないけど・・・・


正直、なんでこんなものなんて書いているのかわからない。

自分は40歳までに人にはできない経験をさんざんやらかしてきた。

それを伝えたくて書いているような気もするが、


それってただの自慢話じゃないかな・・・と自問自答したりする。


こんなことしてればそれこそ本当に


マスコミからはじめ、不特定多数の人達に見られる。


見られてしまう。


でも本当に、特に目立ちたくはない。


むしろもう目立ちたくない。




僕には今、まったく名誉欲はない。


ここ数年はできれば世間から忘れられたいと思っていた。


少なくとも二年前ののエイベックス騒動までは全くそうだった。


そして、社長になり、すこしづつその気持ちに変化が出てきた。


それは有名になる、ならないに関わらず、 出るべきところには


出ざるを得ない責任をもったからだ。


上場企業というのは、たくさんの


株主の方からの出資によって


会社がなりたっている。


個人株主の方もたくさんいる。


自分が最初作った会社だからといって


僕の会社だなどとは言えない。 株主の会社なのだ。


(これには最近、会社はいったい誰のものだなどと いった色々な


意見が世間では出ているが) 当然自分も株をもっているので、


その分でいえば僕の会社と 言えないこともないが、


自分は資本家でもあり経営に携わる代表取締役でもある。


いわゆるオーナー社長の部類に入るのだろう。


世間の上場会社の社長で自分で起業、


株式を保有している社長をオーナー社長といい、


サラリーマンからたたき上げで社長になった人を いわゆる

雇われ社長といったりする。


もちろん、どっちが偉いとかいうことじゃない。


サラリーマンから社長になることのほうが大変じゃないかと僕も思う。


少なくとも自分にはそれは無理だったろう。


だけど、いわゆる雇われ社長は会社のことよりも


自分自身の保身に走る人も少なくない。


(もちろん立派な経営者の方もたくさんいらっしゃいますが)


自分の社長としての任期の間に何も事故がなく、

無事任期を終えれば、そこにはまた、


名経営者としての名誉が残るからだ。


だから、何か不祥事があると隠蔽工作に走ったり


するのだと思う。


しかし、そういう隠蔽工作は必ずばれる。

いわゆる内部告発というものだ。


社員や関係者がそういう経営者にたいして厳しい目をもち、


勇気持って告発することが多くなっている。


そしてその告発者を守る制度もできてきている。


株主の出資によって成り立っている企業だから、


社会的責任があるのは当然で、


これに反する隠蔽工作などを平然と行っている経営者は


罰されて当然である。


オーナー企業でも裸の王様になりすぎると


どこかの誰かさんのようなことになる。

だれも王様にはものをいえないからだ。


だから、勇気をもってまた、


みんなの前に登場することにした。


もちろんタレントじゃないからくだらないものに出るつもりはない。


エイベックスの社長として、


出るべきところには出て行こうと思っただけだ。


だからちょっと、露出が多くなるかもしれない。


そうするとまた、いろいろと誹謗中傷もうけるだろう。


けど、昔と違って今の僕は自分のためにでるのではなく


会社のために出て行く。


それこそお国のために戦争に行く気分だ。


昨年は全社員社員1000名を集めた構造改革発表会を行った。


そしてその次の日には定例の東京証券取引所で記者会見。


そしてその翌日には機関投資家や


証券会社を集めたこれも定例の説明会。


そして議長として自身2回目となる6月の株主総会。


正直、出たくないものばかりだ。 (苦笑)


でもあの時も腹をくくった。


どんな特殊株主が来るかもしれないし、


何年も前の自分の行動をいまさらながら取り上げられ


非難されるかもしれない。


でもいい。


今の自分にはやましいとこが何もないから、


過去の自分の事は堂々と受け答えるつもりだ。


昔、いろいろあっても、そういう経験の後、


自己意識の改革によって今の自分が存在し、


その気持ちをもって会社を経営している自分がいる。

昔のいい気になっていた自分が過去にいた事は認める。


だけど今は違うのだ。


それもこれも通常ではなかなかできない


数々の修羅場をくぐってきたからだ。


「正義を持ってすべてを判断する」


その言葉を自分で言って自分に言いきかせている。


愛に勝るものはない。


それも私利私欲を捨てた利他の精神だ。


2003年に一年間社外研修に行き、


最後に書き上げたレポートを恥ずかしながら掲載する。


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2003年11月24日 



Re-born 2008年構想に向けて 


2003年11月24日  松浦勝人


今年で会社 設立15年になります。


最初の5年間は、音楽を愛しました。


次の5年間は、お金や名声を目的にしました。


その後、直近この5年間は、


まったくといっていいほどの虚無な


やる気のない 空白の5年間が訪れました。


取締役以下、浜崎あゆみ等アーティストも含めて


周りにいるスタッフに守られていた


5年間ではなかったと思います。


とくにこの1年半は苦しかった。


経営者になることと、


クリエイターで居続けることの矛盾との戦いでした。


この両者であることは最終的には両者どちらにでもなれる


ということである一方、


ある時期にどちらか一方を選択せざるを


得ないことなのかという思考との戦いでもありました。


自分の答えを出せないまま、


そして良い数字を出せないまま迎える

「6月の株主総会」は制作責任者として


経営者としてのプレッシャーもあり、


クリエイターとしての仕事にはまったく集中できませんでした。


しかし、この苦しい1年半が過ぎて、


やっと自分はREBORN(再生)できた気がします。


その答え(志)は思ってみれば簡単なことで


「更なる夢や希望、ビジョンを持ち続けること、


何かを達成しても決してそこで満足して立ち止まってはいけない」


ということでした。


経営者としてもクリエイターとしても、


いずれにせよその時点の自分に満足することなく、


おごり高ぶることなく、


前進するための夢やビジョンを持ち続け、


なにより人としての正義を貫く事と理解しました。


それはすなわち


「私利私欲を捨てた利他の精神」


と言い換えることがで


きるのではないかと思いました。


まだまだ、ぼやけてはいますが


なんとなく自分の中でそんな答えができ、


長いトンネルの出口が見えて来た時、


10年前に味わっていたような仕事に対する


純粋な気持ちが生まれてきました。


「やっと戻れた。ただいま」と


今なら昔からの仲間に言えるような気がします。


そしてそんな時期に、偶然にも彼女に子供ができていました。


純粋に、嬉しかった。


彼女と知り合い、そして子供ができたことで、


これまでわかっていたけれどすっかり忘れていた


人間愛のようなものも取り戻せました。


今年からの5年間で本当の自分の


居場所を見つけられるように感じます。


これからの仕事は、


単にアーティストを育てる(プロデューサー)のではなく 、


avexの社員とくに当社ではGM(ジェネラルマネジャー)


といわれている 8人を中心に


社員を教育していくことだと思っています。


CDジャケットから「produced by max matsuura」


の文字を消し始めているのも、


そんな流れのなかに起こった自然なことです。


avexの音楽をプロデュースする立場から、


avexのGMたちをプロデュースする立場に変わり、


15年間この会社で経験してきたことを彼らに教えていく。


これが僕自身にとって、


「次の大きな目標」になるんじゃないでしょうか。


セミという生き物は、何年も土の中で暮らしますよね。


地上でのわずか2週間の命のために何年も土のなかで暮らす。


「たった2週間の命」というかもしれないけれど、


その2週間で彼らは子孫を残し、


人生のすべてを全うする。


せみと比べて人は人生80年。


長いか短いかなんて関係ない。


ただ今をどれだけ一生懸命生きているかによって人の価値は


計られていくんじゃないかと思います。


「死んだら楽になるかな」と思ったこともありました。


でも「死んだら楽になる」なんてわかりませんよね。


誰もそんなこと知りませんよね。


生きているより苦しいかもしれないですよね。


いまの僕は死に際に「自分の人生は幸せだった」と思って死にたい。


むしろ、死のうなんて考える暇もない。


やることがいくらでもあるんです。


それはお金のためじゃない。


何のために? と聞かれたら


「愛だ」と言える自分がいる。


こうやって話をするときも、


僕は右脳のひらめきをすかさず左脳で整理して話そうとしている。


経験をこなすと自然に左脳のほうを使うことが多くなるのですが、


僕はどちかといえばずっと右脳で仕事をしてきた。


ひらめきや感覚を大切に仕事をしてきたように思います。


生まれてからの努力によって左脳が優れた人には、


よい成績でエリート街道を歩き、


東大を出て官僚になってというような人もいるけれど、


アーティスティック(クリエイティブの)な業界では、


どんなに優秀な人が左脳で解いていっても、


結局、右脳の優れた人には勝てない。いずれどんどん差がつく。


そして、やがて右脳タイプは左脳タイプにひがまれ、


やっかまれる(笑)。


もちろん、物事をプロデュースし組み立てていくうえで、


左脳も大切です。


でもそれ以上に右脳の働きがないとダメだと思う。


(科学的な根拠 は全くわかりませんが・・)


15年間この業界でやってきてそう感じていることは確かです。


最終的に自分のやってきたことは、お金を産むことだったけれど、

お金以上のものをやっと産めたような気がします。


もちろんお金は必要でしょう。


お金があると仕事や組織を創るのに便利だから。


発想の優れた人にお金があれば、


世の中に影響を与えることができますから。


純粋な欲と発想力と、


十分なお金があったとすれば何を目指すのか。


それは政治であり「国」の経営だったりするんでしょうね。

究極は「地球経営」だと思います。


最初の10年間は、お金でいろんなことを試しました。


クルマ、時計、家・・・・。


欲しいと思ったものはすべて手に入れました。


それをやった結果、今ようやく、


「フェラーリなんかいらない」「高い時計も要らない」


「高級クラブより居酒屋がいい」


「広すぎる家よりワンルームが一番便利」


と思えるようになった。


39年間の人生のなかで


確かにものすごい無駄使いだったかもしれないけれど、


お金を持ってではなく、使って、いろんなことを


試してみたからこそ今そう思えると自分の場合は思う。


僕に「本を読め」と言ってくれた人がいる。


「本を読めば、人の一生以上の物や事を擬似体験できる」と。


だから僕は「歴史」を読み始めました。


本の中で主人公になって擬似体験する。


自分の歴史は、セミの一生じゃないけれど、


たかだか80年でしょう?


『竜馬がゆく』にしろ『宮本武蔵』にしろ、


本を読めば読むほど、何百年、何千年という人生を擬似体験しながら、


「自分の歴史」を積み重ねていくことができる。


だから生意気にも今は「経営者なら本を読め、


歴史を読め」と言いたいですね。


そんな勉強をしながら、


幹部のGMたちに僕のDNAを間接的に移植し始めています。


プロデューサーとして最も大切な能力は、物事の本質を見極めたり、


感覚を養うこと…やはり右脳だと思います。


ちょっとした相手との距離感や間の取り方も


右脳を使って行わなければならない。


同時にマネジメントをする立場の人間は左脳も大切ですから、


ひらめいた発想を論理的に組み立てることの大切さも説いています。


自由裁量のなかで経営者としての経験も積ませながら


プロデューサーとして一人立ちさせたい。


avexという会社はまだまだ未知の可能性を秘めている会社です。


むしろ、これからいろんなフィールドに


羽ばたいて行ける会社だと僕は思っています。


今は、もっともっとリーダーシップや経営学を追求したい。そんな気持ちです。


そう思えるようになったのも、実経験と大いなる反省から


自分のなかで揺るぎない自信ができたからだと思います。


この1年半は苦しかったけれど、資本家と経営者の


関係を学ぶことができたし、自分なりに反省もしたし、


今は、どうすれば会社経営に「人間性や愛の評価」を


加えていくことができるかを考えることのできる自分がいる。


何か、燃えるものを感じている。


何か、目の前の曇った


霧がさっと晴れあがったような気がしています。


昨年から始めたa-nationというイベントは将来の布石作りでもあります。


avexグループはエンターテインメント・カンパニーとして


これから何をやっていけばいいのか、


僕のなかにはある程度の青写真があります。


ITでいうシリコンバレーのように、  


青山から神宮外苑までのエリアをavex(エンタメ)タウンにできたらいいなぁと…。


神宮球場をエイベックスドーム(笑)にしてしまったり、


日本の伝統ある古典芸能までとり込んだ形で


一大アミューズメント・タウンやパークができたらいいなと思います。


言葉だと現実味がないかもしれませんが、


僕の頭の中にはもう街のプラモデルのようなものができています。


実際にミニチュアを作れば現実味が増すでしょうね。


avexグループにとっても僕自身にとっても


本当の意味で勝負の5年になります。

社内の風通しをよくし、次世代のプロデューサーを育て、


2008年構想を軸にエンターテインメント・カンパニーとして


ゼロベースからの再生をはかります。


こういった経験の中からバランスのとれた経営感覚をより養い、


日々学習し、自分の知識、意識を常に更新することがひいては


今回のテーマ「Re-born」になるのではないかと思います





2003年11月24日  記述
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ここで誓ったことは


たぶん一生言い続けると思う。


自分自身への戒めも含め・・・


まだまだ駄目な自分のために。


そして、会社のため、みんなのために。