気になるキーワード!つづき
*「バナナ」
バナナとはバナナフィッシュ(人間?)がほしくてたまらないものである。バナナフィッシュが求めてやまず、身を滅ぼしてしまうほどのもの。それは、お金、名声、またはセックスなどのありとあらゆる欲望だろう。
*「バナナホール」
「わたしは穴を掘る。臆病なほどに深く。」これはサリンジャーが言った言葉である。穴というキーワードは特に気になる。バナナホールは彼の代表作である「ライ麦畑でつかまえて」の「あちら側」のような、行ってはいけない場所を意味しているように考えられる。
*シビルが見つけた「口に6つのバナナをくわえたバナナフィッシュ」
この時点で、シーモアは「もう十分だろ?」といって帰ってしまう・・・。バナナホールという「あちら側」への境界線を超えたバナナフィッシュが、バナナ(欲望の対象?)を持って「こちら側に」持ってきた意味とは何だろう。
これを見た時に私は「魔法の糸」という短編集の中でガラスビンの中のアメ(か木の実)をとりたいのなら、少しだけ取らないと手が抜けないという話を思い出した。6つのバナナをくわえたバナナフィッシュは、欲をきちんとコントロールすることのできるやつなのかもしれない。あるいは、それはシーモア自身の姿を暗示しているのかもしれない。彼は、バナナフィッシュが78本のバナナを食べているのを見たことがある人物なのだから。
またそう考えるとするならば、「君は6を’たったの’と言うのかい?」とシーモアがシビルに言ったが、「そんなにたくさんの」バナナをくわえる自分の姿を見て、彼は命を絶つ(体を離れる)ことに決めたのかもしれない。
*9という数字
wikipediaによると、9とはカプレカ数である。(9×9=81 8+1=9)(9×9×9=729 7+2+9=18 1+8=9)9を何乗しても、その和を足していけば最後は9になる。サリンジャーは輪廻転生の性質に重ね合わせて「ナインストーリーズ」を書いたのかもしれない。
以上、原書を読んでの印象と独断による私にとってのバナナフィッシュの正解である。謎の多い作品なので、諸説あるので、感じ方は人それぞれだろう。友だちの意見も聞いてみたいところだが、講義を受けた日からすっかりバナナフィッシュにはまったのは私だけらしい。なんとも悲しいが、自分の見解が出来ただけでよしとする。
※図①メルヘンチックなバナナフィッシュ 図②バナナを食べる前後の予想図
