時の流れは早いもので、気付けば俺ももう良い歳である。自分が一体どれほどの者か、否応なしに分かってきてしまった。もし今俺が、将来の夢を語れば笑われてしまうだろう。もっと現実を見よ、自分の年齢や境遇、能力をわきまえよと。
しかし将来の夢を語れば笑われる俺が、将来の不安を語っても憚られることはない。これはおかしな話ではないだろうか。本来ならば将来の夢と将来の不安、これらは対になるはずである。何かを理想としそれを目指すことに、年齢制限などあるのだろうか。
別に今から医者や弁護士になりたいとは言わない。ただ自分の先行きを憂うのと同じ分だけ、今より少し素敵な自分を想像する。そんな時間が、俺にも皆さんにもあって良いのではないか。