俺が子供の頃、バブル経済はすでに崩壊していた。それでも学校ではこう習ったものだ、日本は世界第2位の経済大国であると。
例えば外国で凄惨な事件が起きて、それをネットで観たとする。すると俺などはこう思うのだ、日本に生まれて良かったと。その根底にはある種の共通認識が、少なくとも恐らく皆そう思っているであろうと信じる前提の意識があるのだろう、日本は安全で豊かな国であると。
しかしその認識は、果たしてどの世代とまで共有することが出来るのだろうか。1人当たりGDPで見れば、もはや日本は平々凡々な先進国の1つに過ぎない。そもそもの前提として国に豊かさを期待しない世代の人たちにとって、例えば世界と比べた時に日本は何かしらの魅力を湛えているのだろうか。
いずれ俺も年老いて、「昔の日本は良かった」などと口にするようになるのだろう。その時社会の中心となる世代の人たちには、国に依らない誇りを胸に生きていって欲しいものである。