人はなぜネットにおいて、他者を傷つけることを厭わない残忍な発言が出来るのか!? | まきしま日記~イルカは空想家~

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ちゃんと自分にお疲れさま。

「ミルグラム実験」とは、1965年に米心理学者スタンリー・ミルグラムが行った社会心理学の実験である。被験者がサクラに対し、ある一定のルールに基づいて徐々に強力な電気ショックを与えていくのだ。(実際にサクラの体に電流が流れることはなく、もだえ苦しむ様は全て演技である)。被験者とサクラが互いに顔を合わせる同室に置かれた場合、被験者の中で最大電圧を流した者は30%。しかし被験者とサクラが互いに顔の見えない別室に置かれた場合、被験者の実に65%がサクラに最大電圧を流したのだ。つまり人は、見ず知らず関わりのない相手に対してこそ、より残酷になれるのだ。

さて、Amebaブログの運営会社であるサイバーエージェント社の収益は今や右肩下がり。同社は粛々とAmebaの経営規模を縮小している訳だが、その中でも最大の過ちの一つと言えるのが、今年3月のAmebaグルっぽのサービス終了である。これにより多くの人が、共通の趣味を持つ仲間との喋り場を失った。俺もまたその一人だ。以後俺は、同じ趣味について語れる仲間を求めてネットを転々。2ちゃんねるや5ちゃんねるにも手を出しかけたのだが、そこは到底俺の居場所ではなかった。スレ住人同士の間で飛び交う罵倒、侮辱、そして誹謗中傷。それはもう、憤らしいほどに酷いものだった。曲がりなりにも同じ趣味を共有する仲間同士で、一体どうしたらあのような罵詈雑言を浴びせあうことが出来るのか。

インターネットとは、極めて強力な世論集積装置だ。立法、司法、行政の三権及び第4の権力マスメディアに次ぎ、今やネットは第5の権力としての地位を確立しつつある。実際、2010年代初頭に起こったアラブ諸国の一斉民主化運動(アラブの春)は、ネットでの若者たちの呼びかけが起爆剤になったと言われている。けれどネットは、コミュニケーションツールとして大きな欠陥を抱えていると言わざるを得ない。ユーザーが匿名であるが故、発言責任の所在がそもそも存在しないのだ。互いに顔も見えない、名前も素性も明かされない状況下において、人はなぜ他者を傷つけることを微塵も厭わない、あれほどまでに残忍な発言が出来るのだろうか。俺には理解出来ないし、したくもない。