1993年、Jリーグ創設。小学生だった俺は当時の日本代表チームを見て、率直に疑問に思い父に尋ねたことある。「なんでエースのカズがキャプテンじゃないの?」
サッカー日本代表においては、例えばFW三浦知良やMF中田英寿、FW本田圭佑など「エース」と呼ばれるオフェンスの要になる選手がキャプテンを任されることはほとんどない。代わってこれまでキャプテンを務めてきたのはDF井原正巳、DF中澤佑二、MF長谷部誠などディフェンシブなポジションに位置するベテランの選手だ。
しかし世界に目をやるとブラジルのFWロナウジーニョ、FWネイマール、アルゼンチンのFWメッシなどエースの選手が堂々とキャプテンマークを巻いているではないか。日本と世界で異なるキャプテン事情、その理由は両者の文化人類学的側面にあるように思える。
農耕地帯である日本は「長老社会」、個の逸脱を禁じて集団の秩序を重んじそれをまとめられる存在が重宝されてきた。一方狩猟地帯である欧米や南米は「英雄社会」、圧倒的な肉体能力で誰よりも高い狩猟成果が挙げられる者こそが支持されてきた。この文化史の違いがそのまま「キャプテンを誰に任せるのか」という問題に反映されているのだろう。
尚個人的にはエースとキャプテンの役割は別々の選手に分担させた方が、一選手にかかる負担を軽減させ結果的にチームはよりまとまりやすくなると考える。エースに託すべきはキャプテンマークではない、背番号10のユニフォームだ。