あらゆる天体を飲み込み、光でさえも脱出できない宇宙の墓場・ブラックホール。
もしかしたらサイエンス番組のイメージ画像でご覧になった方も多いかも知れない。周囲の星間ガスを猛烈な勢いで渦巻き状に取り込んでいく不気味な黒い球体、あれがブラックホールである。
ブラックホールの大きさはその質量によって決まってくる(この言い方はやや厳密性に欠く。詳しく知りたい方は「シュヴァルツシルト半径」でググってほしい)。例えば地球質量のブラックホールであれば半径0.9cm、太陽質量のブラックホールであれば半径2.9kmだ。
そして我々の太陽系が属する天の川銀河を含めた、全ての銀河の中心には超巨大ブラックホールがあると考えられている。その質量は太陽の数十億~数百億倍と言われている。
ではその銀河の中心の超巨大ブラックホールの大きさは果たしてどれくらいになるのだろうか。計算してみる。
ブラックホールの半径(シュヴァルツシルト半径)は以下のように示される。
R=2GM/c^2
k=2G/c^2とすると R=kM
(Rはシュヴァルツシルト半径、Mは質量、
Gは万有引力定数、cは光速度)
よってブラックホールの半径はその質量に比例することが分かる。仮に超巨大ブラックホールの質量を太陽の100憶倍とすると、太陽質量のブラックホールの半径は2.9kmなので、
2.9km×100憶=290憶km
超巨大ブラックホールの半径は290憶km、直径580億km。これは太陽から地球を遥か通り越して太陽系の最果て、海王星の周回軌道の大きさの実に6倍以上のサイズとなる。
宇宙規模で考えた時、それは大きいのだか小さいのだか何とも中途半端な数字であるが、とにかく銀河の中心にはとんでもないモンスターが潜んでいるということだ。
将来、星間航行の際には十分にご注意を。