危険ドラッグに手を出してはいけない。中毒症を発して脳に深刻なダメージをきたし、所持しているだけでも犯罪になる。そんなの当たり前のこと、子供でも知っている。世界各国が危険ドラッグの取り締まりを厳しく施行している。
無論”危険ドラッグ大国”アメリカでも厳戒に取り締まりが為されているが、俺はふとアメリカ政府のドラッグに対する対処に疑問を抱いてしまう。なぜならそれが、政治と大きく結びついているからだ。
アメリカで初めて幻覚剤が生成されたのは、1950年代のことである。LSD、史上最悪とも言える悪性効果を持ったドラッグだ。当初は医療用に開発されていたこのLSDであるが、瞬く間にアメリカ中の若者たちに広まってしまう。
奇しくも当時はベトナム戦争の反戦デモがアメリカ全土で沸き起こっていた頃だ。そして暴徒化した一部は気分を高揚させるためにLSDを服用していた。これに目をつけたアメリカ政府はメディアを抱き込み、反戦デモ参加者とLSD使用者を無理やり結び付けてLSDがどんなに危険な薬物か、大々的にネガティブキャンペーンを行ったのだ。
そして1970年代、ついにアメリカ政府はLSDを危険ドラッグとし、所持・服用・精製を違法に。それによってベトナム戦争反戦デモを鎮静化させた。
しかしそれから40年、2010年代に入ってアメリカ政府は危険ドラッグMDADの精神医療目的での研究を合法化。けれどそれにも政治的背景があった。イラク戦争、アフガン戦争。退役後の国民のPTSD(心的外傷後ストレス障害)での自殺件数が史上初めて現役の軍人の死亡者数を上回ったのだ。このようにアメリカの危険ドラッグ禁止・解禁には常に政治的事情が絡んでいた。
人体に有害な薬物の横行にNOを唱えるのは至極真っ当な予防処置だ。しかしそれは専門知識を有した医師や学者の領分であり、間違っても政治家や軍人が政治利用して良いものではない。
ていうか、そもそも無駄な戦争をするな腕力馬鹿。