アニメ『ドラゴンボール超』が今年3月を以て終了する。理由は恐らく視聴率の低迷であろう。同作の視聴率は4~5%台で横ばいに推移している。フジテレビが自信を持って送り出した『ドラゴンボール』新シリーズは、わずか3年足らずで幕を下ろすこととなった。
さて、問題はその後釜番組である。4月より同時間帯にて、『ゲゲゲの鬼太郎』がリメイクされ放送される。俺はこれを聞いた時、思わず我が耳を疑い、胸の内で叫ばずにはいられなかった。「フジテレビはバカか、一体何のつもりで『ゲゲゲの鬼太郎』なのか」。
冒頭で『ドラゴンボール超』の低視聴率を指摘したが、それは何も同作だけではない。子供のテレビ離れが進む中、アニメ番組の視聴率不振は全ての局にとって頭の痛い問題だ。
手元に正確な資料はないのだが、アニメ番組の視聴率でトップを行く『サザエさん』が11~12%台、そして『ドラえもん』、『ちびまる子ちゃん』、『クレヨンしんちゃん』、『名探偵コナン』が8~9%台でひしめき合い、『ONE PIECE』が6~7%台でこれに続く。現在、『ドラゴンボール超』より高視聴率を博しているのはこの6作品だけだ。つまりアニメで視聴率5%を獲る、それは決して生易しいことではないのだ。
さらに昨今、アニメ番組は1時間枠の中で2本放映という抱き合わせ販売の様相を呈している。なぜ今尚『ちびまる子ちゃん』、『クレヨンしんちゃん』が高視聴率を維持出来るのか。それはそれぞれがタッグを組む国民的アニメ『サザエさん』、『ドラえもん』が安定人気を保っているからに他ならない。つまりアニメ番組の視聴率テコ入れを模索するなら、単に『ドラゴンボール超』のみならず、『ONE PIECE』の人気まで考慮しなくてはならないのだ。
ならば『ドラゴンボール超』終了後、『ONE PIECE』のパートナーにどの作品を選ぶべきか。一つに新進気鋭の新作アニメを大抜擢するという手もある。けれど例えばこれが5年ほど前であれば、どんなアニメも『ONE PIECE』が人気作品へと牽引してくれただろう。しかし今や『ONE PIECE』の勢いは沈静化、全国民が「感動的な最終回」を待ち望んでいる状況だ。
フジテレビ、日曜朝の時間帯。新たに人気アニメを育てる余裕はなく、欲しいのは即戦力。ならば過去の人気作品のリバイバルは妥当な選択だろう。しかしだからこそ声を大にする、『ゲゲゲの鬼太郎』では全く以て役不足だ。
仮に俺が『ドラゴンボー超』の後釜番組を決められるなら、そしてそれはフジテレビの過去の作品から選ぶとしたら、俺なら『世界名作劇場』を復活させる。『ムーミン』、『フランダースの犬』、『母をたずねて三千里』等々、これほど母子ともども楽しめる作品は他にあるまい。
◆後世に残したい国民的アニメTOP10
(フジ『アニメアカデミー
1億3000万人が選ぶ不朽の名作』より)
1位 サザエさん (フジ 1969-)
2位 ドラえもん (日テレ 1973、テレ朝 1979-)
3位 となりのトトロ (1988)
4位 まんが日本昔ばなし (TBS 1975-1994)
5位 ドラゴンボール (フジ 1986-1997、2009-)
6位 ONE PIECE (フジ 1999-)
7位 名探偵コナン (日テレ 1996-)
8位 風の谷のナウシカ (1984)
9位 鉄腕アトム (フジ 1963-1966)
10位 アルプスの少女ハイジ (フジ 1974)
テレビ局が視聴率向上のために、不人気な番組を打ち切るのは当然のことだ。しかしフジテレビは、『ドラゴンボール』が抜けた穴の補填を甘く考えすぎている。下手なアニメを抱き合わせようものなら、『ONE PIECE』まで共倒れし兼ねないではないか。