さほど漫画に詳しい訳ではない俺だが、そんな俺が最も敬愛する漫画家が手塚治虫、そして藤子・F・不二雄である。”漫画の神様”手塚治虫、”児童漫画の第一人者”藤子・F・不二雄、両氏はそのまま日本の歴代漫画家の中での1、2と言っても決して過言ではあるまい。
しかし漫画家という枠を越え、広く今日の漫画・アニメ文化を見渡したなら、その最たる功労者は手塚治虫でも藤子・F・不二雄でもなく、映画監督・宮崎駿なのではないだろうか。そこでここでは宮崎駿作品で野球の打線を組み、それになぞらえ他のコンテンツと比較したい。
では宮崎駿が手掛けた数多の長編アニメ作品の中から、名作9本を選りすぐって打線を組み、その上で諸々の作品群と対峙させていく。
1番(中) 風の谷のナウシカ
2番(左) 天空の城ラピュタ
3番(捕) となりのトトロ
4番(二) 千と千尋の神隠し
5番(一) もののけ姫
6番(三) ハウルの動く城
7番(遊) 崖の上のポニョ
8番(右) 紅の豚
9番(投) 魔女の宅急便
(1)まずは日本漫画界最高のレジェンドとガチンコのタイマン勝負をさせてみたい。「もしも手塚治虫の作品で打線を組んだら」。
1番(中) ジャングル大帝
2番(左) リボンの騎士
3番(二) ブラック・ジャック
4番(一) 鉄腕アトム
5番(捕) 火の鳥
6番(三) ブッダ
7番(右) 三つ目がとおる
8番(遊) どろろ
9番(投) アドルフに告ぐ
なんということか、これほど残酷な対比があろうか。あの天才・手塚治虫をして、宮崎氏に対し見劣りは歴然、下位打線に至っては勝負にすらなっていない。手塚氏のここまで痛烈な惨敗、一体誰が予見出来ただろうか。
(2)1人では到底宮崎氏に及ばないのなら、2人がかりではどうだろうか。「もしも藤子・F・不二雄、藤子不二雄A作品で打線を組んだら」。
1番(中) パーマン
2番(左) 忍者ハットリくん
3番(二) キテレツ大百科
4番(捕) ドラえもん
5番(一) オバケのQ太郎
6番(遊) 笑ゥせぇるすまん
7番(三) プロゴルファー猿
8番(右) 怪物くん
9番(投) 21エモン
さすがは手塚治虫が嫉妬したと言われる才能。個々の作品の知名度において、ようやく宮崎軍に対抗し得る打線の完成か。しかし商業実績を鑑みれば、ここでも宮崎氏に軍配が挙がろう。
(3)藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、漫画史に名を馳せる両巨匠を以てしても宮崎氏を倒せなかった。かくなる上は鳥山明、尾田栄一郎、井上雄彦、岸本斉史、そうそうたる顔ぶれで数にものを言わせてかかるしかない。「もしも週刊少年ジャンプの作品で打線を組んだら」。
1番(三) 北斗の拳
2番(右) NARUTO
3番(左) ONE PIECE
4番(中) ドラゴンボール
5番(二) SLAM DUNK
6番(一) キャプテン翼
7番(捕) こちら葛飾区亀有公園前派出所
8番(遊) 銀魂
9番(投) 幽遊白書
これでやっと認知度的にも内容的にも宮崎打線と互角と言ったところだろうか。つまり宮崎駿はたった1人の実績で、週刊少年ジャンプという超巨大コンテンツにも匹敵してしまうのだ。
日本の漫画・アニメ文化の園に悠然とそびえ立つ、宮崎駿という偉大なる巨人。その功績の大きさと重さに、敬意を通り越し畏怖の念すら禁じ得ない。今後いかに優秀な作家が続々と登場しようとも、宮崎氏を後継し得る異才は恐らく未来永劫現れないだろう。
しかしながら俺個人の見解を述べるに、手塚治虫の足跡は風化し、やがてジブリ作品までもが過去の遺産となっても、国民的人気作『ドラえもん』は生き続け、普遍的かつ恒久的に愛されていく。ついついそう思ってしまうのは、ドラえもんファンとしての贔屓が過ぎるだろうか。