10代や20代前半の頃、俺はめちゃくちゃ筋トレをした。理由は至って単純、当時ハマっていたゲーセンのパンチングマシンでハイスコアを出すためだ。「筋肉は見せるものではなく使うもの」、それが俺の筋トレにおけるポリシーであった。
それから10余年、いつしかゲーセンでパンチングマシンをするのも恥ずかしい歳になってしまった。また筋トレを始めてみたいとは思うものの、それはあくまで手段に過ぎず、今の俺には昔のように激しく筋トレに打ち込むだけの目的がない。今、原点に立ち返り問う。「男は皆、なぜ筋トレをするのだろうか」。
「女性にモテるため」というのであれば、動機として即却下だ。まず女性に裸体をさらす機会がない。海やプールに行こうにも付き合ってくれるほど暇な友人は誰もおらず、仮に無理やり誘い集めたとしても、そこに女っ気はゼロである。そもそも若い女性から見たら、30も半ばのオッサンが筋肉質だろうがビールっ腹だろうが、目くそ鼻くそほどにどうでもいいことだろう。
「ダイエットのため」という動機ならば非常に共感は出来るが、やはりそれも却下だ。なぜなら俺は知っている。素人がやみくもに筋トレをしたところでさしたる効果は得られず、痩せるどころか返って筋肉太りしてしまうことを。