まきしま36歳、我が辞書に老朽化という文字はない。皆歳を取ると身体にガタが来ると言うが、そして事実周囲の友人たちは肥満やら腰痛やら何やらで大変なことになっているが、それは俺には全くピンと来ない無縁の話だった。俺の筋力は20代の頃のまま、そして精神年齢に至っては10代の頃のままだ。それこそ今でも50ｍを6秒台で走る気満々である。
もっともそれは外面上の話。俺の内臓を開けば、例えば煙草のヤニで肺が真っ黒になっていそうだが、別に俺には長寿願望はない。傍目から見て分からなければそれでいい。果たして俺の身体に、誰の目にも明らかな加齢に伴うガタなど来るのだろうか。
しかし最近になり、それは急速に訪れた。それも最も人目につきやすく隠しようがない箇所、顔面だ。この１、２年、顔に湿疹が次々と出来、どんなに薬をつけても止まらないのだ。確かに俺の日頃の不摂生を考えれば、湿疹の一つも出来て然るべきであるが、若い頃はそれを跳ね除けるだけの抗体や治癒力があった。けれど30も半ばになり、とうとうそれが失われてしまったのだろう。
まきしま36歳、我が辞書に老朽化という文字はない…訳がなかったのだ。いい加減、市販薬で場当たり的に対処するのにも限界を感じている。やはり皮膚科を受診すべきだろうか。通院は面倒で大嫌いなのだが。