1991年、ソビエト連邦崩壊。米ソ冷戦終結によって世界にもたらされたもの、それは人々が期待した平和ではなく、先の見えぬ混沌であった。
冷戦終結を契機に、リベリア内戦、旧ユーゴスラビア紛争、チェチェン戦争など世界各地で地域紛争が勃発。それをどこか他人事のように見ていた我々日本であるが、2010年代に入り、それは対岸の火事ではなくなった。いよいよ極東アジアにも、その番が回って来たのだ。
冷戦時代、極東アジアには米日韓VSソ中北というシンプルな二項対立の図が敷かれていた。そして双方睨み合ったまま、決して動こうとはしなかった。わずかでも波風を立てれば、すぐさま世界大戦に発展してしまうことを双方が認識していたからだ。
しかし冷戦終結後、米日韓VS露中北というある種の秩序は完全に打ち砕かれた。超大国に成長した中国は独断専行で海洋軍事進出を繰り出し、北朝鮮は中国、ロシアの制止を無視して核実験を乱発、韓国は反日を唱え米中の狭間で揺れ動き、そして日本はいよいよ実践的な軍備所持の必要に迫られようとしている。
かつての二項対立が崩れ、何重もの対立構造が複雑に入り組みそれぞれが一触即発、それが今の極東アジアだ。
今後、米中間で冷戦再燃ということはあるだろうか。まず、ありえまい。アメリカ、中国双方が双方に深く経済依存し、また何より国際世論がそれを回避させるだろう。ならば我々を待っているのは、更なる混沌情勢なのだろうか。