もしもタイムマシンが発明され、過去の好きな時代にタイムトラベル出来るとしたら、皆さんはいつの時代に行きたいだろうか。きっと多くの人が幕末や戦国時代、あるいはさらに時代をうんと遡って、遥か太古の恐竜時代と答えるのではないか。
しかし俺ならば全く違う回答をする。俺がタイムマシンで行きたい時代、それは今からおよそ5億年前、古生代カンブリア紀である。もし叶うなら、俺は「カンブリア爆発」をこの目で見てたい。それは生物史上最大のミステリーである。
カンブリア爆発とはカンブリア紀後期、5億4000万年前~5億3000万年前の約1000万年の間に起こった生物の未曽有の爆発的進化・多様化のことである。
通常、生物は数千万年~数億年という期間をかけて進化し、その姿を変容させていく。しかしカンブリア爆発においてはミジンコやアメーバなどの原子生命が、わずか1000万年の間にエビやカニ、魚といった高等生物に進化してしまったのだ。
カンブリア爆発がいかに凄まじい進化速度であったか、人類の進化と比較すると分かりやすい。1000万年前、まだヒトですらなかった類人猿が、今日人類に進化し華々しい科学文明を築き上げた。これほどのスピード進化は他に類を見ない成功例である、ある人たちはそう言うかもしれない。
しかし生物学的観点から言うなら、人類の進化は1000万年の間にDNAを2%書きかえたに過ぎない。一方カンブリア爆発では、同じ1000万年の間に生命はDNAを数十%も作り変えてしまったのだ。一体どんな魔法を使ったのだろうか。