「もし太陽がなくなったら、生物は生息できない」。これは多くの人が直感的に賛同するところであろう。たとえフィクション作家でも、太陽を失った地球に人類が生存し文明を継続させるなどというトンデモな発想はまずしまい。
しかし人々は月をナメている。「別に月がなくなっても、特に人類が支障をきたすことはあるまい」。現に漫画『Dr.スランプ』では則巻アラレによって、『ドラゴンボール』では亀仙人によって、あるいは最近だと『暗殺教室』や『戦姫絶唄シンフォギア』でも、月が破壊されその後も人類は安穏と生活している。
けれど本当に月がなくなっても地球に影響はないのか。否、地球の4分の1ほどもある巨大天体がわずか38万kmの距離で消失して、何もない訳がないだろ。ド素人の俺が今パッと思いつくだけでも、
(1)地軸が傾き、地球は灼熱と極寒の星になる。
(2)海流がめちゃくちゃになり、海洋生物が壊滅する。
(3)地球の自転が加速し出し、
地上では秒速数百メートルの未曽有の暴風が吹き荒れる。
(4)防波堤の役割をしていた月の引力がなくなり、
地球に容赦なく隕石が降り注ぐ。
もはや言うまでもなく、人類は滅亡である。
失って初めて気づく大切さ、月の場合はそれではもう遅すぎるのだ。さあ皆の者たちよ、今すぐお月様に向かって謝るのだ。「今まで完全にナメてました。ホント、すいませんでした」。