もしこの世に、唐揚げと竜田揚げの違いが分からずに食っている者がいるとしたら、それは実に嘆かわしいことだ。
唐揚げの小麦粉の衣のサクッとした食感、竜田揚げの片栗粉の衣のモチッとした食感。そんな違いにも気付かんヤツは食わんでいい。そんなヤツはきっと、矢田亜希子と和田アキ子の違いにも気付かずテレビを観ているのだろう。そうに決まってる。
さて、俺は夕食は専ら近所のスーパーの惣菜でまかなっているのだが、唐揚げと竜田揚げ、どちらにしようか迷っている瞬間こそ、まさに絶頂至福タイムだ。こってり満足の唐揚げか、それともあっさり淡泊の竜田揚げか。どちらもいい。嗚呼、どちらも捨てがたく俺にはとても決められない。
しかし最近、スーパーの竜田揚げが醤油味から塩味に変わってしまったのだ。馬鹿な、醤油味こそ竜田揚げの真骨頂、塩味など邪道も甚だしい。血迷ったか店長。
恐らく味の似通った唐揚げと竜田揚げの差別化を図るため、唐揚げは醤油味、竜田揚げは塩味としたのだろう。けれどそんなことはしなくていい。唐揚げと竜田揚げの違い、そんなことしなくても俺だけは分かってる。ちゃんと分かってるから。