以前、ある知人に聞かれたことがある。「日本で最初に漫画を描いたのって、手塚治虫でしょ」。
俺は大の手塚治虫、藤子・F・不二雄作品ファンだ。しかしだからといってその問いに即座にYESと答えるのは、確証もなくあまりに厳密性に欠ける。俺はこれには回答に詰まってしまい、「ううん、実際のところどうなんでしょうね」。
日本において、現在の漫画の原型となる「風刺漫画」や「赤本」などは、手塚治虫の登場する遥か以前、それこそ明治時代から存在していた。けれど今日のようなストーリー豊かな娯楽漫画が誕生したのは、確かに手塚治虫がデビューした1940年代である。
さて問題は、「それを一番始めに描いたのが手塚治虫なのか」。これはあくまで俺の憶測であるが、既存の漫画に高度なストーリー性を取り入れようという動きは、手塚治虫の台頭を待たずとも、当時多くの漫画作家たちの間で起こっていたことだろう。
しかしそれら漫画家の中で、圧倒的な才量と実績を誇ったのが手塚治虫であり、ゆえに今尚”ストーリー漫画の第一人者”と呼ばれているのではないだろうか。
◆日本を代表する漫画家といえば?
(「gooランキング」より)
1位 手塚治虫 (代表作/鉄腕アトム) 10751票
2位 藤子・F・不二雄 (ドラえもん) 4715票
3位 鳥山明 (ドラゴンボール) 3704票
4位 尾田栄一郎 (ONE PIECE) 2212票
5位 藤子不二雄A (笑ゥせぇるすまん) 833票
6位 井上雄彦 (SLAM DUNK) 610票
7位 松本零士 (銀河鉄道999) 517票
8位 あだち充 (タッチ) 506票
9位 青山剛昌 (名探偵コナン) 457票
10位 赤塚不二夫 (天才バカボン) 443票 ※以下略
例えば1950年代アメリカ、一般に「ロックンロールの創始者はエルヴィス・プレスリーである」とされている。しかし彼のみならず、同時代の数多のミュージシャンがロックンロールという新たな大衆音楽の創造を試みたであろう。
その中で、最も華々しい成功を収めたのがエルヴィス・プレスリーであり、”キング・オブ・ロックンロール”と称されるに至った。手塚治虫もまたそれと同様である。