こう見えて俺は、意外と腕力が強い。学生時代は”腕相撲友人内最強”、”ゲーセンのパンチングマシン友人内最強”の友人内2冠ホルダーであった。しかしこう書くと、必ず異を唱える友人がいる。「お前が腕相撲最強なのは右手だけだろうが」。
友人A氏は中学高校とバリバリの剣道部であった。聞くところによると、竹刀というのは主に左手の力で振るうらしい。従って剣道部では、左手を徹底的に鍛え上げる。徹底的にだ。そしてその剣道部内においても、A氏は左手で腕相撲負けなしだったとか。ちなみに俺とA氏は過去3回左手で腕相撲をして、俺の1勝2敗。3度目の対戦で勝ち越して以来、10年以上A氏は俺と腕相撲をしようとしない。そう、ヤツは思いっきり勝ち逃げしているのだ。
A氏よ、確かにお前の左腕は強かった。太きこと丸太の如し、動かざること巨岩の如し。だけどお前が剣道部だったのって、一体何年前の話だ。俺のビッグマウスを封じたければ、いつまでも勝ち逃げてないで、いざ尋常に俺と腕相撲で勝負せい。さもなくば、俺は80歳になっても”友人内最強”を名乗り続けるぞ。