漫画・アニメ『ドラえもん』ではドラえもんを主人公としながらも、実質的にのび太の目線で物語が進行していく。周知の通りのび太と言えば、勉強もダメ、運動もダメ、何をやってもドジばかりの小学4年生である。俺の見知る限りの漫画・アニメの主人公をぐるりと見渡しても、のび太のようなノットヒーローは他に類がない。
『ドラえもん』が連載開始されたのは、今から半世紀ほども前になる1969年である。当時の日本はと言うと高度成長期の真っ只中、子供社会においてもガチガチの学歴主義、偏差値教育が敷かれた頃だ。こうした時代背景の中で『ドラえもん』は、のび太という主人公はどのような形で大衆に受け入れられたのか。それはまるで猛仕事や猛勉強の合間に飲むホットミルクティーのような、ささやかでハートウォーミングな勤勉至上主義に対するアンチテーゼだったのではないか。
◆日本を代表するアニメといえば?
(「gooランキング」より)
1位 ドラえもん 3815票
2位 サザエさん 2856票
3位 ONE PIECE 2304票
4位 ドラゴンボール 2088票
5位 それいけ!アンパンマン 485票
6位 鉄腕アトム 468票
7位 名探偵コナン 444票
8位 ポケットモンスター 420票
9位 ルパン三世 366票
10位 宇宙戦艦ヤマト 315票 ※以下略
ある人たちは『ドラえもん』を批判する、のび太はドラえもんに甘やかされてばかりだと。しかし思う、たとえそうであっても良いではないか。子供たちは『ドラえもん』でひと時の夢を見て、そしてまた子供と言えども甘やかされざる社会へと帰っていくのだから。