人類の進化はすでに止まっているのかも知れない。例えば現代人の知能が太古の原始人より勝っていると考えるならば、それは大いなる幻想だ。にわかには信じがたいであろうが、人類の知能は1万年~2000年前をピークに退化に転じている。原因は明白。1万年~2000年前といえば農耕が始まった時期だ。食糧の安定供給が可能となったことにより、能力値の低い個体でも淘汰されずに生存・生殖が出来るようになったのだ。その後も人類は技術革新の度に、脳にかける負荷を軽減させ知能を低下させてきた。
さて俺の小学生時代、例えば理科の自由研究において、必要な情報を収集しようとしたらそれはまさに大仕事だった。それこそ本を何冊も重ねて、その中から研究に要する材料を抽出しなければならない。しかしインターネットの普及により、そのような工程は一切不要となった。本を開かずとも、辞書を引かずとも、ネット検索一発で欲しい情報を容易く得ることが出来てしまう。こうしてまた一つ、人間の脳は負荷を免れた。果たして人類はどこまで退化してしまうのだろうか。