サッカーW杯アジア地区最終予選・タイ戦。日本は前半8分に香川真司が先制点を挙げると、前半19分、岡崎慎司がダイビングヘッドで試合を決定づける追加点。そしてそのまま4-0で快勝した。
俺は家のテレビでフル観戦していたのだが、岡崎のゴールを歓喜と失意が入り混じる、何とも複雑な気持ちで見守っていた。岡崎はこれで代表通算50ゴール。三浦知良が持つ日本歴代2位の代表通算55ゴールの記録までいよいよ秒読み、そして俺はJリーグ創設以来の大のカズファンだからである。
◆日本代表通算ゴール数
1位 釜本邦茂 75得点
2位 三浦知良 55得点
3位 岡崎慎司 50得点
4位 原博実 37得点
5位 本田圭佑 34得点
6位 高木琢也 27得点
7位 木村和司 26得点
8位 中村俊輔 24得点
8位 香川真司 24得点
10位 高原直泰 23得点
カズは1990年に代表デビュー、不動のエースとして日本代表を牽引するが、1998年、日本が初出場を決めたW杯フランス大会直前に代表落選。それはカズが30歳の時であった。
30歳といえば、現在の本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都らと同じ歳だ。それは早過ぎる、あまりにも早過ぎる代表引退であった。しかもカズの代表落選は恐らく正当な実力評価によるものではない。なぜなら当時の日本代表岡田武史監督と度々確執が報じられていたからだ。その頃はまだ監督として全くの無名だった岡田氏にとって、自分以上の発言力と影響力を持つカズの存在は手に余ったのだろう。
今でも思ってしまう。「もしカズがフランスW杯に、さらに次の日韓W杯にまで出場していたら、一体どれほどのゴールを量産していたのだろうか」。ざっと計算してみた。
カズは1990年から1998年まで、9年間日本代表に在籍し55ゴールを挙げている。これを年間当たりに換算すると、
55ゴール÷9年間≒6.11ゴール
そして2002年日韓W杯まで、さらに4年間代表として活躍していたなら、
6.11ゴール×(9年間+4年間)≒79.43ゴール
カズの代表通算得点は79ゴール。釜本邦茂氏を抜いて日本歴代1位に躍り出る。
まあ、実際にはこの計算通りにはいくまい。たとえ代表に選出されたとしても、歳を取れば得点力も衰え若手に出場機会を譲ることになっていただろう。
しかし、俺は見てみたかった。ベテランになったカズが、日本代表でどんないぶし銀のプレーを見せるのか。そしてJリーグNo.1ストライカー・三浦知良が、旧日本サッカーリーグNo.1ストライカー・釜本邦茂の記録にどこまで迫れるのかを。