I.ニュートンの「ニュートン力学」とA.アインシュタインの「相対性理論」、その最たる違いとは何であろうか。思うにそれは、ニュートン力学が「絶対時間・絶対空間」を用いたのに対し、相対性理論が「相対性原理」を取り入れたことだ。
「絶対時間・絶対空間」によれば、ある速度運動をする観測者Oから見て成り立つ物理法則のみが唯一正しく、Oとは異なる速度運動をする観測者から見た物理法則はそれぞれ修正を要する。それに対し「相対性原理」によれば、それぞれに異なる速度運動をする全ての観測者から見て、物理法則は等しく正しい。
さてこの半生、公私に渡り様々な人付き合いを交わしてきた俺だが、最も面倒くさい輩は独善家である。「自分の価値観や善悪の判断基準は常に正しく、いかなる他者に対しても絶対普遍である」。独りよがりにして押しつけがましい、まさに「絶対時間・絶対空間」の概念そのものだ。
10人いれば10通りの価値基準、たとえ相容れずともそれぞれの正しさを尊重し合うのが、いうなれば「相対性原理」である。他者とのコミュニケーションに際し、我々はニュートンであってはならない。アインシュタインであるよう、常に心がけるべきだ。