テレビ朝日の看板アニメ『ドラえもん』に、にわかに異変が起きている。これまで常時10%前後と、安定した視聴率を誇ってきた同番組。しかしそれがここへ来て、視聴率8%台へと下落を喫しているのだ。その理由は明白である。同局のバラエティ『ロンドンハーツ』が、火曜夜9時から金曜夜9時へと放送時間を変更したことだ。
近年、視聴率低迷がささやかれていたテレ朝『ロンドンハーツ』。金曜の『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』、『ミュージックステーション』と抱き合わせることで、なんとか番組を存続。そして火曜9時台は、ニューコンテンツ開拓枠として空けておく。恐らくそれが、テレ朝の思惑であろう。しかし『ドラえもん』は親子2世代共有番組である。「親が子供に見せたいテレビ番組」という需要、それがこれまで『ドラえもん』人気を支えた屋台骨であった。そして『ロンハー』といえば、日本PTA全国協議会「子供に見せたくない番組」8年連続1位の悪名バラエティだ。そんな番組が『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』の後に、『Mステ』を挟んで控えているとしたら。金曜夜に子供の前でテレ朝をかける親が、一体どこにいようか。
さて、以下に示すは以前フジテレビにて放送、『アニメアカデミー1億3000万人が選ぶ不朽の名作』より「後世に残したい国民的アニメTOP10」である。
1位 サザエさん (フジ)
2位 ドラえもん (テレ朝)
3位 となりのトトロ
4位 まんが日本昔ばなし (TBS)
5位 ドラゴンボール (フジ)
6位 ONE PIECE (フジ)
7位 名探偵コナン (日テレ)
8位 風の谷のナウシカ
9位 鉄腕アトム (フジ)
10位 アルプスの少女ハイジ (フジ)
人は言うかもしれない。「『サザエさん』、『ドラえもん』は別格の国民的人気アニメ。視聴率が多少変動したところで、その地位は揺らがない」。しかし、俺はそうは思わない。『サザエさん』、『ドラえもん』の人気もあくまで現在進行形の需要ありき、その地位は決して不朽に約束されたものではない。そしてその根拠は「忘れ去られた第3の国民的アニメ」、『それいけ!アンパンマン』の存在だ。日テレは子供向け主軸番組を『アンパンマン』から『名探偵コナン』にシフト。『アンパンマン』は視聴率低迷につき、放送時間を金曜午後から同午前へと変更。完全に同局内で”オワコン”(終わったコンテンツ)として片付けられてしまった。『サザエさん』、『ドラえもん』もまた然り、この先多分に同じ憂き目を辿り得るのだ。
大のドラえもんファンとして、俺はテレ朝に対し激しい怒りを抑えきれない。『ロンハー』など終わらせてしまえ。そんな需要の乏しい番組存続のために、誰からも愛される国民的コンテンツ『ドラえもん』の未来を潰してはならない。