自慢ではないが、
俺は小説というものをほとんど読んだことがない。
いや、ほとんどと言うより全く読んだことがない。
30余年。これまでの半生合わせて5冊読んだかどうか…
うん、多分5冊も読んでないな。
自然科学、人文科学、社会科学、一般教養…etc
こう見えて俺は、大抵の学術分野において、
それを専門とする友人の話に合わせられるウンチク家だ。
けれどそれが文学の話となると…もうお手上げである。
小説やその作家の他の作品、それらについての論評など。
俺は友人の話についていけず、いつもポカーンだ。
しかし俺の中には、確固たる思考の基軸がある。
大袈裟に言うならば、それは俺の哲学だ。
小説を読まなかった俺が、いつどこで哲学を培ったのか。
少年時代、確かに俺は活字を読まなかった。
けれど代わりに、手塚治虫、藤子F不二雄を読み漁った。
それらが大人になった今でも、俺の血肉となっている。
高校時代だったか、国語教師が言った。
古典文学を読め。先人の思想は大いなる学びになると。
ならば俺は声を大にして言いたい。
手塚治虫、そして藤子F不二雄。
彼らの作品は漫画の域を越え、もはや古典文学だ。