ある物理学に精通した知人に尋ねたことがある。
「エントロピー増大則は、
果たしてどこまで拡大解釈して良いものだろうか?
例えば自然科学以外の事象についても、
エントロピーの概念は適用可能なのか?」
すると彼は答えた。
「この世にエントロピー増大則が一切関係しない事象なんて、
おおよそ存在しないのではないのか?」
エントロピー増大則とは、熱力学の根幹を成す法則である。
「ある熱源から正の熱を受け取り、これを全て仕事に変える以外に、
他に何の変化も起こさないようにするサイクルは存在しない」
例えば、冷水が入った水槽に熱湯を注いだとする。
すると水槽の中全体がぬるま湯となり、温度は均一となる。
しかしその逆の現象、水槽の中のぬるま湯が、
自然に熱湯と冷水に分離することは絶対にあり得ない。
さて、話は思いっきりブッ飛んでここからは経済学である。
2050年の人口予想、上位国は以下の通りだ。
1位 インド
2位 中国
3位 アメリカ
4位 インドネシア
5位 ブラジル
そしてGDP予想の上位国は以下となる。
1位 中国
2位 アメリカ
3位 インド
4位 ブラジル
5位 インドネシア
なんと人口とGDP、そのTOP5が完全に一致するのだ。
これは取りも直さず、一人当たりGDPの均一化を意味する。
今、完全なる自由市場経済を想定する。
そしてこの市場には、外的要因が一切介在しない。
もしそこに、エントロピー増大則の概念を適用するならば…
無限の時間が経過した後、
財は各個人に、完全に均等分配されるのだろうか。