【妄想劇場】 私の彼は太っ腹

私の彼は太っ腹。
私を喜ばせる為だったら、金に糸目をつけなかった。



ある時、私は、
「きれいな夜景が見たい」と言った。
彼はヘリをチャーターして、
上空から東京の夜景を見せてくれた。

ある時、私は、
「イタリアンが食べたい」と言った。
彼は自宅にシェフを招いて、
高級フルコースをご馳走してくれた。



そんな彼との幸せな日々も、そう長くは続かなかった。
私が別れ話を切り出すと、彼は弁護士を立ててきた。
「貴女との交際に費やした費用、
3056万4600円、全額弁済してもらいます」

そして私の地獄の返済生活が始まった。
払っても払っても減らない借金。
彼との夢のような毎日、
その代償はあまりに大きかった。



そんな彼は今、日本の内閣総理大臣をやっている。
予算に糸目をつけない生活向上政策、
国民は嬉々として彼を支持した。

国債発行額は、すでに未曾有の水準に達している。
やがて国民は彼の本性を知ることになるだろう。
１年後か、４年後か、それとももっと先か…