【妄想劇場】 予知夢 | まきしま日記~イルカは空想家~

まきしま日記~イルカは空想家~

ちゃんと自分にお疲れさま。

ある夜、
サトルは夢の中で不思議な老人に出会う。
「君に予知夢を授けよう。
君は夢の中で全てを見通すことが出来るのだ」



懐疑心に目が覚める。
予知夢?馬鹿馬鹿しい。
なんてくだらない夢を見てしまったのだ。

その夜、サトルは夢を見る。
テストで百点を取る夢だ。
翌日、学校でサトルは驚愕した。
本当に百点だったのだ!

その後もサトルは予知夢を見続けた。
十万円入りの財布を拾う夢、
好きだった女の子に告白される夢、
そしてそれらはことごとく現実として実現した。

なんて素晴らしい能力だ!
俺は全能の神にも比する力を得たのだ!



そんなある晩、サトルは恐ろしい夢を見る。
深夜、酒酔い運転のトラックがサトルの家に突っ込み、
サトルをはねたのだ!

「うわあっ!」
脂汗で目が覚める。
何だったのだ、今の夢は…?
俺がはねられる?そんな馬鹿な?

しかし、一日経ち、二日経ち、
サトルには何も起こらなかった。
馬鹿馬鹿しい、とんだ人騒がせだ。
やはりあれはただの夢だったのだ。



ある深夜、
酒酔い運転のトラックがサトルの家に突っ込み、
眠っていたサトルをはねた。

かくしてサトルの夢は、
またしても現実のものとなった。
しかし、サトルはそのことを知らない。
事故の後遺症で、
サトルは永久に目を覚ますことが出来なくなってしまったのだ。



あの恐ろしい夢はただの夢か?
それとも現実なのか?
サトルは今でも夢の中で、
トラックにはねられる恐怖に怯え続けている。