【妄想劇場】 小鳥 | まきしま日記~イルカは空想家~

まきしま日記~イルカは空想家~

ちゃんと自分にお疲れさま。

小鳥は翼を小さくたたみ、
大樹の枝先にその千切れそうな足で必死にしがみついていた。

「君は空を飛ばないのかい?風が最高に気持ちいいぜ」
「僕は飛び方を忘れてしまったんだ」

「あの大空を見てみろよ。思いっきり羽ばたきたいとは思わないのか?」
「ああ、確かにきれいな空だな」

枝葉にさえぎられたその狭間から覗く大空は、
やけに広く遠く、まるで他人事のように感じられた。

「その背中の翼は、一体なんの為についてるんだい?」
「翼の広げ方を忘れてしまったんだ」

「君の翼の傷はとっくに癒えてるんだ!君は気付かないだけなんだ!さあ、羽ばたこうぜ!」
「翼が重いんだ…まるで自分の身体じゃないみたいに重いんだ…」

小鳥は翼を小さくたたみ、
大樹の枝先にその千切れそうな足で必死にしがみついていた。
その小さな身体を震わせながら――
その小さな身体を震わせながら――